マルシェに行くと、彩り美しい野菜や果物などの食材が種類豊富に並んでいます。それを目にするたびに、フランス人は本当に食べることが大好きな国民なんだなと感じます。フランス人は肉好きの人が多いですが、もちろん野菜料理も食卓に上がります。今回は、フランス家庭で定番の野菜料理や、野菜をおいしくいただく人気の調理方法についてレポートします。
素材の味わいを引き出す!常備野菜3種の食べ方
じゃがいも・にんじん・玉ねぎの3つは保存がきき、日本でもフランスでも、家庭のキッチンに常備されている定番野菜ですね。ここでは、フランス家庭での定番の食べ方をご紹介します。
1.じゃがいもの定番料理 グラタン・ドフィノワ
じゃがいもはフランスの食卓に欠かせない野菜料理の1つです。レパートリーは多数あり、中でもグラタン・ドフィノワ ( Gratin dauphinois ) は家庭でもレストランでも定番人気の一品です。
生クリームと牛乳でじっくり焼き上げていくのですが、家庭によっては牛乳のみで作る場合もあります。家庭ごとに違いはあれど、共通しているのはグラタン皿の底にニンニクをこすりつけて風味を出し、ナツメグを少し加えることです。材料はシンプルでも、オーブンでゆっくりと加熱していくことで、いくらでも食べられるおいしさに仕上がります!
2.にんじんのサラダ キャロット・ラペ
フランス家庭の食卓でよく見かけるキャロット・ラペ( Carottes râpées )は、にんじんを使った定番のサラダです。細切りにしたにんじんをレモン汁やオリーブオイルで和えるだけ。さっぱりとしておいしいので、前菜にもぴったり!
レーズンやクルミを加えたり、ドレッシングをビネグレットソースに変えたりとアレンジ可能です。細切りにすることで、にんじんをたくさんいただけます。
3.玉ねぎ料理の定番 オニオンスープ
玉ねぎは料理の名脇役と思われがちですが、フランスではオニオンスープ ( Soupe à l’oignon ) という主役級の一品があります。大量の玉ねぎをじっくり炒めて甘みを出し、チーズとパンを載せてオーブンでこんがり焼いたら食卓へ!寒い季節におすすめの、心も体もほっとする味わい深い一品です。
フランス人が好む野菜の調理法
日本に比べるとフランスは1年の平均気温が低いので、野菜は生よりも加熱した食べ方が好まれています。また、フランスでは大量に作って数回に分けて食べることが多いので、加熱調理は保存の点からも支持されているのでしょう。
定番はスープです。夜は軽めの食事を好む家庭も多く、野菜スープにパンでおしまいということも珍しくありません。ポタージュにして滑らかな食感を楽しんだり、野菜をサイコロ型にカットして噛み応えのあるスープにしたりと、家庭によってさまざまなアレンジがされています。
マルシェの野菜売り場では、八百屋自家製のスープが1リットルの瓶詰になって並んでいます。かぼちゃ、ズッキーニ、ニンジンなど種類も豊富。それだけ需要があるということでしょう。
またお肉や魚のつけ合わせとして、野菜のピュレも人気です。カリフラワー、セロリ、じゃがいも、かぼちゃなどがよく使われています。
南仏料理のラタトゥイユ( ratatouille )は、夏野菜をたくさん食べられる定番メニュー。日本でも人気がありますよね。
暑い時期はやっぱり生野菜!
暑い時期は、やはり加熱をしないさっぱりとしたサラダが人気です。アボカド、ゆで卵、オリーブ、インゲン、トマト、サーモンなど他の食材との組み合わせによって、食べ応えのある立派な料理になります。
フランスで大人気の野菜 アーティチョークはどんな味?
フランスに住み始めたころ、マルシェで見かけて気になっていたのがアーティチョーク( artichaut ) です。最初は買う勇気が出ず、いつも眺めているだけでした。
ある日、フランス人の友人宅に招かれた際、前菜に登場したのがこのアーティチョークです。茹でたてで湯気が立っている丸ごとを、一人ずつのお皿に配られました。
葉を1枚ずつはがし、先端の柔らかな部分をソースにつけて味わいました。するとアーティチョークのほのかなコクとビネグレットソースの酸味が絶妙!初めて食べたときの驚きは今でも忘れられません。
そして、最後にたどり着く中心部はハート( cœur )と呼ばれ、最もおいしい部位とされています。食べ進めるうちに、お皿の上にどんどん葉が積み上がっていく様子は圧巻で、ライブ感あふれる野菜料理でした。
まとめ
フランスの食卓にあがる野菜料理は、あまり難しい手順のものはありません。どちらかというと、時間をかけて素材のうまみを引き出すことがポイント。以前、私が宿泊したオーベルジュで夜に出た野菜スープは、素材のうまみがたっぷりで感動のおいしさでした。野菜は体も心も元気にしてくれる自然の恵み。日頃から積極的に取り入れたいですね。
執筆 YUKO