フランス 本日より管制塔スト 明日5日はフライトキャンセル40%

2025.07.03

greve aeroport France

2025年7月3日(木)、本日始まった管制官のストライキで、明日5日(金)は、パリ、シャルル・ド・ゴール空港をはじめ、ニース、リヨン、マルセイユなど各地で30%~50%のフライトがキャンセルされます。ちなみに日本行を含む長距離路線は対象外になっています。5日からの夏休みを目前のストに、航空業界や利用者から避難の声が上がっています。

 

4日、パリ、ド・ゴール、オルリー空港発着の40%がキャンセル

明日までの2日間予定されている管制官のストで、本日パリの2空港は25%のフライトがキャンセルされています。

民間航空管理局(Direction générale de l’Aviation civile)は、さらに明日4日(金)のフライトに関して、各航空会社に発着便の4割をキャンセルするよう指示しました。

パリ北部、ローコスト航空会社の発着が集中するボーヴェ(Beauvais)空港も例外なく、明日のフライトは40%キャンセルされます。

たった200人余りが数十万人を人質、乗客は急なフライトキャンセルで混乱

夏のバカンスシーズンは、パリ2空港だけで、1日あたりの乗客は35万人にも上ります。

ストライキの予告は6月後半に出されていましたが、大幅なフライトキャンセルの指示がでたのが直前とあって、なんの通知も受けていない乗客が空港で怒りをあらわにしています。

管制官が所属する労働組合は三団体ありますが、今回ストをおこなっているのは二団体で、フランス全国の管制官1,400人の33%を占める270人が所属しています。

残りの1000人以上が加入するフランス最大の管制官労働組合は、今回ストを見送っています。

バカンスシーズン、南仏、コルシカ島発着

フランス第三の空港、ニース国際空港、コルシカ島(Corse)のバスティア(Bastia)、カルヴィ(Calvi)では、50%のフライトがキャンセルされています。

フランス南部の他の空港、リヨン、マルセイユ、モンペリエ(Montpellier)、コルシカ島のアジャクシオ(Ajaccio)、フィガリ(Figari)空港も30%減便になっています。

 

管制官、管制塔の入退出チェック導入に反発

組合の要求は人手不足の解消、給与の見直しなどですが、今回特に管制官に対する新たなルールの導入に組合側は反発しています。

これまで、管制官の管制塔のコントロールルームへの入退出にはなんのチェックもなく、フライトの発着がすくない時間帯は自由に席を離れることができていました。

しかしながら、2022年、ボルドー空港で旅客機があやうく衝突しそうになるという事件が発生し、その原因として、「管制塔の運営の問題」と指摘されたことを受け、航空管制官に対し入退室を管理するタイムレコードが導入が決定されています。

運輸大臣、「言語道断」と反発

フランス運輸大臣フィリップ・タバロ(Philippe Tabarot)は、今回のストを受け、管制官が持ち場を離れるなど「もってのほか」と反発、さらにストによる経済への深刻な打撃、特に国内線の多くを運行するエールフランス航空に与える損失は、最終的に納税者である「フランス国民にしわ寄せが来かねない」と表明しています。

航空管制官、公務員のなかで最も高給

組合の要求の一つ、昇給に関して、上院セナ(Sénat)のレポートで、航空管制官はフランスの公務員のなかで最も給与が高く、平均年俸は9,6000ユーロ(約1630万円/1ユーロ=約169円)、月額にして8,000ユーロ(約136万円)と、給与面ですでに十分な見直しがなされていると公表されています。

 

フランスの空港、半年で2.5万件超の「遅延」で欧州ナンバーワンの汚名

地理的に欧州の中心に位置し、フランスは欧州各航空会社にとっても重要な拠点であることから、航空管制官のストは他国の航空会社にも多大な被害をもたらしています。

エールフランス、英国航空、ルフトハンザなど欧州航空会社が所属する団体「エアーライン・フォー・ヨーロッパ(Airline for Europe)」は、今回のストを「耐えがたい」と非難する声明をだしています。

ローコスト航空大手、EASYJETは、「ストで顧客への返金やフライト変更を余儀なくされ、さらにこの夏、フランスの管制塔は、同社の遅延を引き起こす最大の原因になる」と表明しています。

やはりローコスト大手、ライアンエアー(RYANAIR)が(皮肉なことに)昨日発表した、今年1月~6月までの欧州各国の空港の遅延ランキングによると、フランスは遅延回数26,008回のダントツで1位、2位のスペインの16,667回を1万回以上も引き離しています。3位のドイツはフランスの3分の1以下の7,526回となっています。

これをみるだけでも、フランスの空港管理及びストが、航空会社に大きな損失を与えているかがうかがえます。

執筆;マダム・カトウ

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