皆さんはフランス語で知らない表現に出会ったとき、どうしていますか?電子辞書ですか? Google翻訳ですか? 気合いですか? それとも放置ですか? 僕がフランス語で知らない表現に出会ったときに助けてもらうものは…
なぜ紙の辞書を使うのか
これです。紙の辞書。重くてかさばる、この紙の辞書。何年も使い続けて、どこへ行くにも携帯し、手垢で茶色く変色して、ページがボロボロになってところどころスコッチ(un scotch セロテープ)で貼り付けてもいまだに使い続けている、この紙の辞書。
今は薄くて軽く、一台で何カ国語もインストールできて、発音までしてくれる超ハイテク電子辞書があります。そんなご時世に僕がこの紙の辞書をビブル(la bible 聖書)のように信仰して持ち歩いている、その理由を今日はお話しすることにします。
では最初のページをめくってみることにしましょう。
電子辞書は「高いから」…
僕が留学前に電子辞書を買わなかった理由、それはただ一つ「お金に余裕がなかったから」。大学時代から持っているこの紙の辞書(白水社 Le Dico ) があるのだから、さらに電子辞書を買う必要はないと思ったからです。
でも、母親からは「そんな重いしかさばるんちゃうん? 電子辞書やったら別の言語も入れられるから便利なんとちゃう?」と勧められ、気持ちは揺らいだのですがやはり値がはります。「いや、紙の辞書でいい」と強がり、購入をあきらめました。
フランスで外出が怖くなり…
フランスに来てから最初の3週間は、パリからRERとバスを乗り継いで1時間半ほどの、Chambourcyというとてものんびりした田舎街で仮住まいをしながら家を探していました。
喜び勇んで来てみたものの、パリから離れているうえ近所には知り合いがまったくいません。パリに出るにも週末はバスが3時間に一本しかなかったり、帰りのバスの最終が18時だったり…。
そしてフランス語で言いたいことはなんとか言えても、答えがまったく聞き取れない。「自分は留学をしに来たから遊びに来たわけではない」と妙に頑なになりました。「正しいフランス語をしゃべらなければいけない」「遊ぶために外出なんてとんでもない」とガチンガチンになってしまって、最初の5日間で外出をするのが怖くなっていきました。
日本からのメールに泣く
そんな時、元職場の上司から「おーいDaisuke、生きてるかーい?」という一通のメールが届いたのです。そのたった一文のメールに、今まで張り詰めていた心の糸がプツッと切れて、3時間近く声をあげて泣きじゃくったのを今でも覚えています。
日本の友人からも「知らない土地に一人で行ってるんだ、怖くて当たり前。泣け泣け。泣くだけ泣いたら『何もしらなくて当然、だから来たんだ!』と自信をもって外に出なさい」という励ましのメールをもらった、29歳最後の2週間…。
フランスになじむためのルール
その友人が僕に3つのルールを課しました。
・毎日必ず10人(以上)のフランス人と言葉を交わす。ノルマが達成できなければ翌日へ持越し
・外出時は必ず辞書を持ち歩き、目に入るすべてのわからない単語をその場で調べる
・道は人に聞く
これならできそうです。僕は辞書をもって街へ飛び出しました。頭の中には松任谷由実の「ルージュの伝言」が流れていました。
続きをお楽しみに!
執筆 Daisuke