フランス経済再生策に1000億ユーロ 《環境》にも大幅投資

2020.09.04

新型コロナ フランス

9月4日(金)、ジャン・カステクス(Jean Castex)首相は昨日3日、コロナ禍で景気後退にあるフランスの経済再生プランとして、1000億ユーロ(約12兆5854億円/1ユーロ=125.83円)の予算を発表しました。

 

1929年の大恐慌以来の景気後退

首相は、フランスが「余りにも急に」突入した景気後退は「大恐慌以来最大」と位置づけ、ロックダウン中の雇用と企業を守るためにフィリップ前首相が組んだ緊急予算4600億ユーロ(約57兆円)によって「国民の購買力がなんとか維持された」ことに感謝の意を表しつつ、フランス経済は「脆弱化してしまっている」と述べました。

 

《守り》から《攻撃》へ、新首相

フランス経済を再稼働させるため待望された今回の対策と予算ですが、まずは「直近の経済再生」として、2022年にコロナ以前のレベルに戻すという目標を掲げています。

さらに「2030年への準備」として、長期的な経済活性化と新しい産業を強化する対策が含まれています。

これらの対策で、今後フランスは「攻撃」と「強化」の時期に入り、さらに今回の予算は「欧州内で最大」と、就任からちょうど2ヶ月の新首相は力強く語りました。

 

バイオテクノロジーなど、将来性のある産業を大幅支援

ブリュノ・ル・メール(Bruno Le Maire)経済・財務大臣(Ministre de l’Économie et des Finances)は、「復興」大臣のタイトルも拝し、経済・財務・復興大臣(Ministre de l’Économie, des Finances et de la Relance)として経済再生策を指揮します。

ル・メール大臣は、「フランス経済はこの景気後退を抜け出して、以前よりも強くなるだろう」と宣言したうえで、「我が国は過去20年間の成功体験に鎮座、つまり農食品産業やラグジャリー産業に頼ったまま、変化し続ける世の中に合う新しい産業を生み出していなかった」との反省から、今後バイオテクノロジーや再生エネルギー、リサイクル業など「将来性のある産業への支援を強化する」と述べました。

大量失業を阻止、増税なき支援策

また、今回の予算でまずは失業者の増加を最大限に食い止め、苦境に立たされている中小企業への支援を行っていくと約束しました。

そのため財政赤が大幅増となりますが、「2025年頃には経済の回復により赤字を埋めることができる」との見通しで、「増税なし」を約束しています。

 

景気回復の鍵は《環境》

カステックス首相の発表によると、1000億ユーロのうち、300億ユーロ(約3兆7760億円)が環境関連に当てがわれます。

内訳は、公共交通機関の近代化に110億ユーロ(約13兆8400億円)、特にこの中の半分が鉄道に割当てられます。

また、20億ユーロ(約2兆5000億円)が水素エネルギーに、同じく20億ユーロがシェアリングエコノミーに、そのほか都市の緑地化などにも割り当てられます。

首相これにより「パリ協定(COP21)で調印した約束を果たすことができる」と述べ、景気回復の鍵となる「新しい産業支援」が環境問題の解決にも繋がると強調しました。

執筆:マダム・カトウ

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