3月15日(日)に予定されているフランス地方選挙の第一回戦は、新型コロナウイルス感染者の急増で延期が懸念されていましたが、本日3月10日の時点では、よほどの状況悪化がない限り予定通り実施されます。
新型コロナウイルス対策に、大量のボールペン
今回の地方選挙は、フランスでの新型コロナウイルス 感染者が急増する中で行われるという異常な事態となり、各地方自治体により投票所での感染防止対策が取られます。
投票所の入り口には消毒ジェルが置かれ、入場者同士が十分な間隔を置いて並ぶよう床に白線が引かれます。
通常であれば投票記載台にはボールペンが1本あるだけですが、例えばフランスで6番目に人口が多いナント市(Nantes、人口約30万人)は、不特定多数の使用による間接的な接触を防ぐため2万本購入したと発表しています。
また、一度に投票所内に入場する有権者の数も制限されます。
感染者が特に多い東フランスのオー=ラン県(Haut-Rhin)内64の投票所では電子投票機が用意され、機械は利用毎に消毒されます。さらに「投票所に行くと感染する」という恐怖感を払拭するため、希望者にはサージカルグローブやマスクも提供されるといった対策を発表しています。
また、政府は移動が困難な高齢者に代理投票を奨励しており、今週は警察官が老人ホームを巡回して代理投票の登録を行うなど、感染恐怖による投票率の低下を抑えようと躍起になっています。
有権者の28%、《感染を恐れて》投票に行かない
世論調査会社イフォップ(Ifop)社の調査によると、回答者の28%は《新型コロナウイルス の感染を恐れて》「投票に行かない」と答えています。しかしながら、この28%のうちどれだけの人が《そもそも投票棄権者》なのかはわかっていません。
ちなみに、2014年の地方選挙における《棄権》は36%にも上りました。
とはいえ今回の騒動で、とりわけ大都市での投票率は大幅に下がる可能性があります。
パリの有権者の37%は「投票に行かない」と回答しています。そのため、政治学者の間では感染を恐れて投票を棄権する「高齢者の支持層が厚い政党に不利になる」との予想が広まっています。
しかしながら、調査結果によると18〜24歳までの若い有権者のうち40%が「感染が怖いから棄権する」と回答しています。逆に同じ理由で「棄権する」と答えた65歳以上の有権者はわずか23%でした。
執筆:マダム・カトウ