危険性が指摘されていたフランス最古の原子力発電所 廃炉へ

2019.10.01

9月30日(月)、フランス電力会社(Électricité de France/EDF)は、現在フランス国内で稼働している中で最も古い原子力発電所である、フェッセナイム(フェッセンアイム)原子力発電所(Centrale nucléaire de Fessenheim)の運転を来年の6月をもって終了し、廃炉にする申請案を政府に提出しました。

 

フェッセナイム原子力発電所

フェッセナイム原子力発電所は、フランス東部のアルザス地方のドイツとの国境にあり、ミュールーズ(Muhlouse)から北東へおよそ25㎞、ドイツのフライブルク(Freiburg)から西へおよそ25㎞、スイスのバーゼル(独:Basel/仏:Bâle)から北へおよそ40㎞に位置します。

稼働している原子力発電所としてはフランスで最古

1970年から1977年にかけて建設が行われ、1978年1月1日から運転を開始し、41年稼働し続けていて、現在稼働している原子力発電所としては、フランスで最古です。

度々事故を起こしている

これまでに、2004年に弁から誤って放射性物質が排出されて作業員7名が被曝する事故や、2005年に1号炉で燃料を撤去する際、配電盤がホウ素濃度の異常を検出して使用済燃料プールの冷却ポンプが停止する事故、2009年にプラントの主要冷却給水システムの取水系統に障害が発生する事故が起こるなど、度々事故が起こっていることでも知られています。

これらの事故はそれぞれ、「安全に影響を与えるレベル」を上回るとされる、国際原子力事象評価尺度レベル1「逸脱」に分類されています。これは、1995年に日本で起きた、日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故や、2004年の関西電力美浜発電所3号機・2次冷却水配管蒸気噴出事故と同レベルです。

レベル 基準 事例(一部)
7 
深刻な事故
原子炉や放射性物質障壁が壊滅、再建不能 チェルノブイリ原発事故(1986年)
福島第一原発事故(2011年)
6 
大事故
原子炉や放射性物質障壁に致命的な被害 ウラル核惨事(1957年)
5 
事業所外へリスクを伴う事故
原子炉の炉心や放射性物質障壁の重大な損傷 チョーク・リバー研究所原子炉爆発事故(1952年)
スリーマイル島原発事故(1979年)
4 
事業所外へ大きなリスクを伴わない事故
原子炉の炉心や放射性物質障壁のかなりの損傷/従業員の致死量被曝 東海村JCO臨界事故(1999年)
3 
重大な異常事象
重大な放射性物質による汚染/急性の放射線障害を生じる従業員被曝 動燃東海事業所火災爆発事故(1997年)
2 
異常事象
かなりの放射性物質による汚染/法定の年間線量当量限度を超える従業員被曝 関西電力美浜発電所2号機・蒸気発生器伝熱管損傷(1991年)
1 
逸脱
「もんじゅ」ナトリウム漏洩(1995年)
関西電力美浜発電所3号機・2次冷却水配管蒸気噴出(2004年)
0+ 安全に影響を与える事象 関西電力美浜発電所3号機2次系配管破損事故(2004年)
0- 安全に影響を与えない事象 新潟地震に伴う、東京電力柏崎刈羽原子力発電所での一連の事故(2007年)

 

老朽化するも危険性はないとの判断

老朽化していることや、過去には近隣のバーゼルでマグニチュード6.2の地震が発生していること、2011年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、第三者検討会による安全性の見直しがはかられましたが、危険性はなく発電所を閉鎖する妥当性はないとの判断から、10年間の運転継続が認められていました。

フランソワ・オランド(François Hollande)前大統領が訴えたエネルギー政策の転換によって、当初は2016年後半に閉鎖されることが期待されていましたが、実現には至っていませんでした。

 

2020年に二段階で廃炉へ

フェッセナイム原子力発電所は、フランス電力会社の正社員が850名、原子力発電所関連のサービス業従事者350名を雇用していて、地元に大きな雇用を創出しています。また、地元にも多くの税収をもたらしていることから、発電所閉鎖の話は難航していました。

今回の閉鎖申請は、フランス政府とフランス電力会社との間でフェッセナイム原子力発電所閉鎖に伴う補償に関する意見が、9月下旬に合意に至ったことから実現しました。

まず2020年2月22日に1号機が、6月30日に2号機がそれぞれ運転を終え、随時廃炉になる計画です。

フランスは原子力発電所依存度が世界で最も高く、発電される電力の内77パーセントを原子力発電に頼っています。今回のフェッセナイム原子力発電所の廃炉は、原子力発電依存からの脱却の糸口となるのでしょうか。

執筆:Daisuke

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