今回は、私の通う大学で今大きな話題となっている”Fusion”という動きについてご紹介します。
Fusionって何?
Fusionとは、パリに所在する複数の大学を統合する計画の名称です。以前から大学間の連携は国家の課題となっており、ボルドーやモンペリエなど、既に複数の大学が統合された地域もあります。
現時点ではパリ第9大学(Paris-Sorbonne)・パリ第6大学(Pierre et Marie Curie)が2018年に統合する予定で、追ってパリ第3大学(Sorbonne Nouvelle)・パリ第5大学(Paris-Descartes)・パリ第7大学(Paris-Diderot) の3大学が2019年を目処に統合する意思を表明しています。
統合後の大学名はそれぞれSorbonne Université、Université Sorbonne Paris Citéとなる予定です。
ル・モンド紙の記事もご参照ください。
Le projet de fusion de trois universités parisiennes est lancé
« Sorbonne université » : Pierre-et-Marie-Curie et Paris-Sorbonne en route vers la fusion
Fusionによってどう変わるの?
まずは管理部門の効率化、大学に必要な敷地の最適化が挙げられるでしょう。また、「大学(Université)」という名前にも関わらず大学ごとに学科が限定されている現状を是正し、大学の評価を上げる狙いもあります。
一方で、Fusionによってパリ大学はより理系教育に力を入れるという噂も耳にします。フランスでは理系教育が重要視されており、成績のいい学生は好き嫌い関係なしに理系のバカロレア(Baccalauréat scientifique) を取得し、理系の学科を目指す傾向にあります。今回のFusionをきっかけに文系の学科を整理し、理系学科を強化する可能性があるようです。
学生の反応は?
私の通う大学 (Sorbonne Nouvelle) は芸術・言語学が専門なので、自分たちの学科の人数が削減されるのではないかと生徒達は心配しています。私の所属するMédiation Culturelleに至っては、学科自体が削除されるのではないかとの噂も…。
授業数に対して教室数が足りず、ミスの多いアドミニストレーションに辟易としている学生の中には「これで現状が改善するなら」という人もいます。しかし学費が上がるなど多くの懸念があり、少なくともパリ第3大学では反対する生徒が多い印象です。
大学にはFusionに反対する張り紙だらけ。
正面のポスターと左のタイプされたチラシもFusionに反対する内容のものです。
1月末にはパンテオン前・パリ第3大学内などで学生による大きな集会が開かれました。連日反対運動を呼びかける団体が学校の庭などで抗議しており、パリの大学生の中では今一番ホットな話題。
パリのソルボンヌ大学がまた一つになる日は果たしてくるのでしょうか。パリ大学の今後に注目です!
執筆:Megumi