フランス語の美しい響きに欠かせない、発音記号をわかりやすく解説(1)

2017.08.12

発音記号
皆さんがフランス語を学習しようと思ったきっかけはなんですか? ワインの勉強、移住、仕事…など人によって理由はさまざまだと思いますが、中には「フランス語の響きが美しいから」という人もいるのではないでしょうか?

その美しい響きを支えているのが発音。今回は、その発音とは切っても切り離せない「発音記号」の重要性についてお話しします。

 

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  • 発音記号をただしく理解しよう

    上の画像に書いてあるものがなんだかわかりますか? これはフランス語の母音の発音記号です。逆三角形をしたこの配置、フランス語を学習した人は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

    真ん中の e をさかさまにしたような記号「 ə 」を中心として、上にいくと口の開きが狭く、下にいくと広くなります。さらに、左へ進むと舌の位置は前、右に進むと奥、というように見ます。

    上の左から順番に、無理やり読み方をカタカナで書くとすると
    イ ユ ウ / エ エゥ オ / ウ / エ オェ オ / ア  ア
    となります。

    しかし以前にお話しした通り、フランス語は日本語に比べて母音や子音の数が非常に多く、カタカナでは正確に表記することができません。カタカナではなく、発音記号そのもので発音を理解できるようになることが大切です。

    a / ɑ

    どちらも「ア」という発音の記号です。現在ではどちらの発音もほぼ違いなく「ア」と発音しますが、厳密には、a 普通の「ア」 / ɑ 喉の奥の方でいう「ア」という違いがあります。

    ø / œ

    どちらも日本語にはない音で、カタカナでは表記できません。無理やり書くとすればエゥ、オェのような音です。同じ発声原理ですが、ø がより口の開きが小さく、œ の方が口を大きく開きます。œ は文字通り、「オとエを同時に発音する」もので、語尾のeur が比較的この発音です。ø はœ の音の出し方そのままで口を小さくします。語中のeu や語尾のeux などがこの発音です。

    e / ɛ

    どちらも「エ」。左の方が口の開きが狭く、右のほうが広く発音します。

    o / ɔ

    どちらも「オ」。これも左の方が口の開きが狭く、右のほうが広く発音します。

    ə

    そしてこのe がひっくり返ったマーク。口の力を極力抜いた状態の「ウ」という音です。ウでもエでもない、非常にニュートラルな響きがします。たとえるなら、テレビをぼけっと見ていて生返事をする時に出すような音、でしょうか。

    i / y / u

    「イ・ユ・ウ」 これらは見たままの発音ですが、u は日本語の「ウ」よりももっと深い音がします。オに近い音がするのが特徴で、ou というつづりはこの音です。

     

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  • フランス語独特の発音記号に慣れよう

    この他にも、フランス語の母音を表す発音記号には、「半母音」「鼻母音」というものがあります。フランス語独特のホワンホワンホワーンという音はこの「鼻母音」によるものです。鼻母音の発音記号は4つ。

    ɑ̃ (鼻母音の波線は発音記号の真上につきます)

    これは、en / em / an / am というつづりの時の音です。先ほどの喉の奥で発音する「ɑ」に波線がついていますね。この記号を発音すると「アン」よりも「オン」に近い音で聞こえます。これは、喉の奥で言う「ア」に「ン」が足されているためで、自然に「オン」という音になります。

    ɛ̃

    こののび太君が眼鏡を外した時の目のような記号、どのような音がするか想像できるでしょうか? これは、一般的な日本語の「アン」とほぼ同じ音です。ɛ が口を少し大き目に開いて「エ」と発音するので、その口のまま「アン」と発音してみましょう。つづりは、in / ein / ain / im / eim / aim / yn / ym です。

    œ̃

    想像もつかないような記号が出てきました。これは、œ が基本になっているので、口を「オとエを同時に言う」形にしましょう。そして、口の形はそのままで「アン」と発音します。つづりは、un / um です。

    ɔ̃

    これは鼻母音の中で最も区別しやすい音ですね。唯一はっきりとした「オン」という音です。くぐもった音で「オン」とはっきり言いましょう。開口のオ「ɔ」が元になっていますが、比較的口はすぼめて発音します。

     

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  • 発音記号とつづりの関係を覚えよう

    発音記号で発音を確認するのはとても大切なことですが、毎回つづりの発音記号をすべて調べるのは非常に時間がかかります。フランス語学習をしていく上で、発音を調べることだけに時間を割くことはできませんよね。

    フランス語は≪例外を除き≫ほぼ規則に沿って発音されます。ですから一度発音記号とつづりの関係を覚えてしまえば、いちいちすべてを調べる必要はなくなります。

    つづりと発音がしっかりと理解できていれば、読むときに驚くほどスムーズに朗読できるようになります。また、聞き取りや書き取りをする際、「今はɑ̃ と聞こえてきた」という感覚があれば、たとえ知らない単語だったとしても、それがen / em / an / am のどれかのつづりだということがわかります。

     

    発音記号と、たのしみながら仲良くなろう

    発音記号を正確に理解するのは、なかなか根気がいる作業です。しかし一度わかり始めると、次から次へと連鎖的に発音がわかるようになってくるはずです。発音記号は、決して学習者を悩ませるために存在しているわけではありません。発音を手助けしてくれる大切なあなたのパートナーです。

    それでもやっぱり難しいなあ、と感じたらFrance365運営元のEnsemble en Françaisのプロの講師に発音を教えてもらいましょう。自分一人では解決できなかったあの難解な発音も、ちょっとした工夫や発想の転換でスムーズに発音できるようになるかもしれません。
    Bon courage ! [bɔ̃ kuraʒ]

    執筆 Daisuke

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