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フランス語を話すとき、どうしてもうまく発音が出来ずに悩んでいる、という人も多いと思います。
今回は、ちょっとした工夫で、苦手だった「あの発音」が驚くほどすっきりと発音できる、とっておきのメソッドをご紹介します。
なぜうまく発音できないのか
まずは、日本語を母国語とする私たちがフランス語を話すとき、なぜうまく発音できないのかを正しく理解することから始めましょう。
日本語にはない発音がたくさんある
日本語は「アイウエオ」の5つの母音と14の子音を組み合わせて発音します。
それに対してフランス語は、アルファベットの組み合わせで12の母音、4つの鼻母音、5つの半母音(正確には3つ。母音の組み合わせで合計5つ)と、母音だけで合計21もあります。さらにそこに子音が組み合わされるので、日本語よりはるかに発音の種類が多くなるのです。
「音節」という考え方に慣れていない
以前にもお話ししていますが、日本語は一つの文字が「母音+子音」で構成されています。たとえば「おはようございます」という言葉をローマ字に置き換えてみると、
o ha yo u go za i ma su
このように、母音字をのぞき、すべての文字が子音と母音で表記されます。この「子音+母音」の組み合わせを「音節」と呼びます。
私たちがふだん日本語を話すときは、「文字数」を意識することはあっても「音節数」はあまり意識しません。それは、日本語は一文字がすでに一音節で成り立っているからです。
俳句 / Haiku で考えてみると…
私たちが俳句を詠むとき、文字数を五・七・五にしますよね。
ふるいけや かわずとびこむ みずのおと
松尾芭蕉の有名な句です。ひらがなかカタカナで表記すると5文字・7文字・5文字です。そして、日本語は一文字の中に子音と母音が内包されているため、音節数も5・7・5です。一方これをフランス語にすると、
Un vieil étang et
Une grenouille qui plonge,
Le bruit de l’eau.
(Wikipediaより引用)
となり、文字数や単語数ではなく「音節数」が5・7・5で書かれていることがわかります。
フランス人が日本語を話すとき、少し一生懸命発音しているように聞こえるのは、この日本語独特の「すべての音が一音節で構成されている」のに慣れていないからです。
子音と母音という感覚がうすい
もう一つ、私たちがフランス語を話すときにハードルになるのは、「どの子音とどの母音が組み合わされて発音しているか」という感覚が薄いことです。それは、ひらがなとカタカナが一文字でその発音を表しているからです。
母音や子音の断捨離に挑戦しよう
では、どのようにして発音をよくすればいいのでしょうか。
カタカナやひらがなで読み方を書くのを極力控えましょう。つづりだけ、もしくは発音記号だけをみて発音します。そのためには、まずつづりと発音の規則、関係をしっかりと学んでおくことが大切です。
何度も言いますが、カタカナやひらがなはすでに「子音+母音」のセット販売になっているので、子音が連続するフランス語の表記には適していません。
très で挑戦してみる
「とても」という意味のこの単語。「トレビアン」などよく使う言葉でありながらむずかしい発音です。カタカナで読み方を表記すると「トレ」。しかし、つづりを見ると t の後ろには母音がないため音節の数は一つだけです。そして「ト」と発音することはできません。そこで母音の「断捨離」に挑戦してみましょう。
① まずは t と r 両方を断捨離します。フランス語は語尾の子音は発音しないので、発音上 è だけが残ります。まずはこの「エ」 を3回発音しましょう。
エ エ エ
② そこに r を足します。フランス語の r は喉を鳴らす音でかなりむずかしいのですが、そこを説明するとそれだけでこの回が終わってしまうため省きます。 r を足した「レ」を3回発音しましょう。
レ レ レ
③ この「レ」だけ言うつもりで直前に t と舌を打ちます。もう一度先ほどの「レ」を3回発音して、最後に t を足したものを1回だけ言ってみましょう。ポイントは t を、あってもなくてもどっちでもいいほど軽く発音することです。
レ レ レ tレ
どうでしょうか?すこし言いやすく感じませんか?
préférer で挑戦してみる
次はもうすこし長い単語で挑戦してみましょう。こちらもよく使う、「より好む、~の方がいい」という意味の単語です。カタカナで書くと「プレフェレ」と5文字になりますが、実際は3音節です。
① 最初は pr と r を断捨離して「エ・フェ・エ」と3回発音します。
② 次は r を入れて「レ・フェ・レ」と3回発音します。
③ 先ほどの「レ・フェ・レ」を3回発音して、最後に、 p を言うために最初に一瞬だけ唇を閉じたものを、1回だけ言います。こちらも p はあってもなくてもどちらでも構わない、という気楽な感じで発音します。
まとめ
フランス語の発音はむずかしいと思われがちです。しかし、書いているすべてのアルファベットを全部言おうとさえしなければ、実はかなり楽な発音であることがわかります。
しっかり発音する場所はしっかりと、そうでない部分は思い切って断捨離してしまえば、すっきりとスマートな発音が手に入ります。さあ、皆さんもこの「断捨離」発音練習、試してみませんか?
執筆 Daisuke