お菓子のような甘い香水はお好きですか。グルマンノートと呼ばれる美味しい香りは、どこかホッと和ませてくれます。今日はフランス東部、アルザス地方の伝統菓子であるパンデピス(pain d’épices)の香りをご紹介します。
アルザス伝統菓子 パンデピスの香り
パンデピスというケーキをご存知ですか?その起源はフランスから遠く離れた中国とされ、モンゴル、中東を経て11世紀ごろヨーロッパに紹介されました。15世紀にはクリスマス時期にアルザスの修道師達の食卓に上り、パンデピス職人達はその地位を確立していきました。
スパイス入りのケーキって??
パンデピス(pain パン、d’epices スパイスの)という名の通り、材料には複数のスパイスが使われ独特の風味を与えています。広く愛される温かい香りのシナモンから始まりすっきりとした生姜、透明感がありながら癖の強いアニス、女性的な面を持つナツメグ、メタリックだけどコクのあるクローブ、時にピリッとする唐辛子まで加えられ、その個性が誕生します。
さらに小麦粉に対して半分以上の割合で練り込まれるハチミツは、甘さと同時に華やかさとどこかタバコの葉のような酸味を加えます。
ケーキの香りを再現した2つの香水
そんな香り豊かなケーキは香水の世界でも愛され、数多くのメゾンが名作を生み出しています。例えば老舗のゲラン(GUERLAIN)がアクア アレゴリア(AQUA ALLEGORIA)シリーズでウィンターデリス(Winter Delice)というオードトワレを2001年に発表しています。
ウィンターと名が付くように松やモミの木が寒い冬の散歩道を美しく表現し、パンデピスはラストノートに温かさを与えています。
また、バテーム ドゥ フゥ(Baptême du Feu)を誕生させました。ジューシーで生き生きとした蜜柑の香りの裏に、パンデピスのしっかりとした存在感を感じることができます。
ルタンス氏の子供時代を垣間見るような無邪気な香調と同時に、独特のミステリアスな世界へと誘うオードパルファムです。
アルザスの香り ブルーキルト
一人の女性が故郷アルザスへの愛を込めてブランドを立ち上げました。それがブルーキルト(Bleu Kelsch)。創立者のローレンス フリッツ(Laurence Fritz)は化学者で、様々な化粧品会社で経験を積んできました。
「目まぐるしく変化する今の時代に必要なのは、ゆっくりとした時間を持つこと。」そう考える彼女の作品はどれもナチュラルで温かいものです。
今回取り上げたパンデピスはもちろん、ブルーベリー&胡桃や野いちご&ペパーミントなど家族団欒の庭にある香りがたくさんあります。
詳しくはこちら⇒ブルーキルトのサイト
まとめ
今回は自然豊かなアルザス地方のパンデピスの香りをご紹介しました。甘えたい時や忙しさを忘れて一息つきたい時、ぜひこの美味しい香りを頼ってみてください。次回はフランス西部へ香りの旅に出掛けましょう。
執筆者 ふみ