「フランス語って素敵だな。」「仕事でフランス語が必要!」など、人によって動機は違いますが外国語を学ぶことは視野を広げてくれますよね。正しいフランス語を話すことに重点を置くのは大切ですが、くだけた表現を知っておくと会話が広がり、コミュニケーションにも役立つと思います。今回は、若者を中心として使われている”逆さ言葉”にフォーカスして紹介します。フランスの俗語は、一体どのように使われているのでしょうか?
フランスの逆さ言葉は名称がすでに逆さ!
昔、バブル期の日本では、業界用語で逆さ言葉がよく使われていました。例えば、ハワイ→ワイハー、マネージャー→ジャーマネ、すし→シースーなどです。業界人でなくても、聞いたり使ったりしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
フランスではこの逆さ言葉を業界用語ととしてではなく、普段の会話で使います。verlan(ヴェルラン)と呼ばれ、これ自体が「逆さまに」を意味する (à) l’envers の逆さ言葉です。
これは俗語の一種で、若者たちは気軽に使っています。アルファベットを反対にするというより、音節を反対にするパターンです。
例)逆さ言葉の名称
元の単語 (à) l’envers 意味:逆さまに、反対に
音節 l’en-vers
逆さ言葉 verlan
日常会話でよく耳にする逆さ言葉を紹介!
よく耳にする代表的な単語の逆さ言葉を紹介します。
①パーティー 元の単語 la fête → la teuf
Écoute, hier, j’ai fait la teuf.
あのさ、昨日パーティーしたんだよね。
②怪しげな、不審な 元の単語 louche → chelou
Hé, il y a un mec devant la porte, c’est chelou.
ねえ、ドアの前にいる男、何か変だよね。
③並外れた 凄い 元の単語 fou →ouf
Aさん Il est bon ce plat! この料理美味しい!
Bさん Ouais, c’est ouf ! だね、めっちゃ美味しい!
◆ Bさんの ouais は 、oui の砕けた言い方です。フランスの若者はこの ouais (ウェ、ワェ)と言うことが多いです。
逆さ言葉が芸名の人気ミュージシャン
フランスで人気のヒップホップミュージシャンのストロマエをご存じでしょうか?彼はベルギー出身で、デビューアルバムでヒットを飛ばしヨーロッパで有名になりました。フランスでは、セカンドアルバムが200万枚以上の大ヒットです!
芸名のストロマエ( Stromae )は、巨匠を意味するマエストロ( maestro )の逆さ言葉からきています。ヒップホップは韻を踏んだりと、歌詞の中に言葉遊びが含まれているのが特徴です。
そして時には、社会への風刺メッセージも含まれています。逆さ言葉は、視点の転換という点においても大切なのかもしれません。
ストロマエの曲に興味のある方は、こちらの動画をどうぞ! ストロマエ流カルメンです。
まとめ
紹介した逆さ言葉は基本的に若者が使っていますが、時代とともに新しい逆さ言葉ができ、古い表現は使われなくなったりしています。また、自分で使う機会はなくても、フランス語の映画などで耳にすることはあるかもしれません。辞書には載っていない言葉も多いので、ある意味生きたフランス語といえますね。
執筆 YUKO