フランスに住んでいると、どうしても避けては通れないものの一つに La Grève(ラ・グレーヴ = ストライキ)があります。
ストライキとは労働条件や退職制度改善を求め、労働を一定の期間拒否するという行動。ちなみにストライキをしている期間は当然、無給です!
立場を選んでストライキ
A : Dis, tu fais la grève demain ?
B : Bah non, j’ai trop dépensé le mois dernier alors je ne veux pas être moins payé !
A:ねえ、明日ストライキする?
B :う~ん、しない。先月お金使いすぎてお給料少なくなるのはいやだから。
ストライキの前日にはこんなやり取があったりして、ちょっと笑ってしまいます。頻繁にストライキをする人たちの代表株は…
パリのRERやメトロ、バスを運営するRATPグループ(パリ交通公団)
パリ在住者には本当に頭がイタイ問題ですね。私も以前パリに住んでいた頃は何回か遭遇、会社提出用のストライキ遅延証明書をもらうのに必死でした。これがイヤでクルマ通勤をするパリジャンも多いようです。
長距離トラック運転手
高速道路をトラックで封鎖し、ライフラインをぶった切ってしまいます。特に給油トラック運転手のストライキの場合は大変!一般市民はガソリン確保に躍起になり、大混乱します。
学校の先生や給食センター
ストライキをするか否かは個々の教師の選択なので、「クラス1は通常授業だけどクラス2はストライキ」なんてことが普通に起こります。学校は出来るだけ子どもたちを家に引き取ってもらうよう訴えます。しかしフランスは働く親がほとんどなので、なかなかそうも行きません。臨時雇用者が動員されますが、授業は行いません。ちなみに親の職場が許せば、職場に子どもを連れて行くことも出来ます。
このように、ストライキはどれだけ多くの一般市民に迷惑をかけるか、が焦点となっています。クレームが多いほど企業にとっては打撃ですからね。ですから、働いている人が少ないバカンス中には絶対に行われません(笑)。
ということは…一般市民にさほど迷惑をかけない企業もストライキするのでしょうか?身の回りの、例えば販売系や金融系に勤める方たちは絶対にストライキはしません。彼らは言います。「ストライキ?僕らの職業でやっても体裁よくクビになるのがオチ。公共性の強い職業の特権だね」フランス人全員がストライキ経験者(常習者?)ではないということですね~。
あとがき
こんなストだらけのフランスですが、国民の懐が深いな~と思える点を添えておきます。
ストライキにより大迷惑を被っているにもかかわらず、フランス人の反応は意外に理解があることに毎回驚きます。確かに文句は言うのですが、最終的に責める相手はいつも企業側なんですね。「会社側は早く条件を飲めばいいのに!」と。フランス人の寛大さが垣間みれるのがストライキです。
執筆 Ayako