ブレグジットFTA交渉期限迫る、フランス《ノーディール》準備、どうなる?漁業権

2020.10.13
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ブレグジット、フランス「ノーディール」準備強化

10月13日(火)、今年の12月31日に移行期間が終了するイギリスのEU離脱《ブレグジット》ですが、自由貿易協定(FTA)で未だイギリスとEUが合意に至っておらず、欧州側が設定した10月末の交渉期限切れに備え、フランス政府は準備を強化しています。

 

全シナリオに対応

今月12日にカステックス(Jean Castex)首相は、全大臣を首相官邸に招集し、ブレグジットにより影響を受ける企業や個人から出ると思われるありとあらゆる質問に答えられべく最終準備をするよう指示しました。

首相は「自由貿易協定を結ぶことを強く望んでいる」と強調しつつ、「ノーディール」(FTA合意なし)のシナリオを考慮し、最悪の事態に備えています。

国境税関職員1200人増員

ノーディールの場合には、全ての車両が税関を通過することから、ドーバー海峡での大渋滞による物流への影響が懸念されています。政府は、国境コントロールに税関職員を新たに採用することで、影響を最小限に食い止めようと計っています。

在フランス英国人に《滞在許可証》

フランス政府は、フランスにすでに滞在している英国人に対し、滞在許可証の申請受付を今月19日よりオンラインで開始すると発表しました。

 

今月15日に9回目の協議、溝埋めらるか?

ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は、マクロン大統領に「イギリスはあらゆる手を尽くして、自由貿易協定(FTA)合意に努力する」とメッセージを送りましたが、一方英国内では「イギリスはEUとの自由貿易協定がなくても生きていける」との声が上がり、産業界からの反発を受けています。

フランスの欧州・外務大臣付欧州問題担当副大臣(Secrétaire d’État auprès du ministre de l’Europe et des Affaires étrangères, chargé des Affaires européennes)クレモン・ボーヌ(Clément Beaune)氏は、「合意に向けて全力を尽くしている」としたうえで「ボールは英国側にあり、我々は挑発や脅しには屈しない」と譲らない姿勢を見せています。

英国側は今月15日に開催されるEU首脳会議で合意し、年末にかけて適用していく意向を示していましたが、EU側は10月末を最終期限としています。

 

漁業権が焦点、フランス、ベルギー、イギリス領海への依存度高く

交渉の最大の難関は、イギリス領海でのEU諸国の漁業権です。あまり知られていませんが、イギリス領海でのEU加盟国による漁穫高は、イギリスの漁船がEU他国の領海で行う量の約8.4倍にもおよびます。

さらに、温暖化の影響で食用の魚が海域を移動しているため、フランスやベルギーの漁師がイギリス領海で漁をする必要性が年々高まっています。

例えば、ベルギーの2大漁港、オステンド(Ostende)と ゼーブルージュ(Zeebruges)では、1年間に15000トンの魚が水揚げされますが、そのうちの80%がイギリス領海で獲れたものです。中にはイギリス側で水揚げされ、トラックで運ばれてくるものもあります。

そのため、合意の有無にかかわらず、来年1月1日から通関が必要になることで運送に余計な時間がかかり、「魚の鮮度が落ちる」といった問題の発生が懸念されています。

イギリスの魚介類、最大の輸出先はEU諸国

一方、イギリスで獲れた魚介類の最大の輸出先はフランスで、年間7800万トン、続いてオランダ、アイルランド、スペインなどのEU諸国が上位を占めています。

英国側交渉担当のデビッド・フロスト(David Frost)氏は、「我々はできる限りのことを行っており、EU側が譲歩すべき」と強硬な姿勢を崩していません。

15日の首脳会議で合意に至るかどうかが注目されます。

執筆:マダム・カトウ

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