2026年7月7日(火)、海外にあるフランス人学校(リセ・インターナショナル:lysée internationale)への政府の補助金が減少し、運営に大きな改善の必要性がある、という内容の在外教育庁に関する厳しい報告書がセナ(元老院)で提出され採択されました。リセ・インターは、海外に赴任した駐在員の子女、現地に住むフランス人の子供だけでなく、地元の子供や外国籍の子供も入学できる私立のインターナショナルスクールですが、政府の補助金減少による学費の高騰の影響について地元紙が報道しています。
世界612校、40万人が学ぶリセ・インターナショナル
リセ・インターナショナルは世界の主要都市に612校ほど存在します。2019年の時点で前年から8,000人増えて37万人、今年は40万人もの生徒がフランス文部省の規定にしたがう教育を受けています。その多くは在外教育庁の認可を受けた私立校です。
「リセ」(lycée)というフランス語は、日本の「高校」を意味しますが、リセ・インターナショナルには幼稚園から高校までのクラスがあります。入学資格はフランス人だけでなく、学校の所在する国の子供、外国人など、特に規制はありませんが、授業料が異なります。
現在、全体の生徒数に占めるフランス人生徒の割合は30%にすぎません。
生徒数は2030年に2倍予想、予算はじり貧
これらの学校の多くは、在外教育庁(AEFE:Agence pour l’enseignement français à l’étranger)の管轄下にあります。
今回セナで提出されたレポートによると、同庁の2026年予算は4億2360万ユーロ(約783億7400万円/1ユーロ=184円)で、これは2年前に比べ6.9%も減少しています。
セナでこの報告書を提出した左派エコロジー党のマチルド・オリヴィエ(Mathilde Ollivier)議員は、50ページに及ぶレポートで、海外フランス人学校の運営について、政府の補助金「減」に伴い、富裕層が優遇され中流階級には手の届かない学費になること、教師の労働条件が厳しくなることなどを問題点として挙げています。
マクロン政権が2018年に掲げた目標に向かい、2030年には生徒数が70万人に到達することが予想されるなか、資金減少の悪影響が懸念されています。
フランス、外交政策の要、教育で世界での影響力を拡大
2019年、当時外務大臣だったジャン=イヴ・ル・ドリアン(Jean-Yves Le Drian)は、「教育はこれまでも常に我が国の最重要プロジェクトの一つで、今日、フランスの発展と世界での影響力を拡大する政策の中心にある。つまり、はっきりいって地政学的に重要な戦略の一つ」であると述べています。
さらに、ブランケール教育相(Jean-Michel Blanquer)は、海外へ派遣する教師の数を2030年までに1万人増やすといった、大きな目標を発表していました。これに対し、労働組合は駐在員待遇で派遣される教師と現地採用の職員や教師との待遇差の拡大に懸念を表明していました。
フランス政府は、世界中にある英語圏のインターナショナルスクールに対抗すべく、拡大戦略を打ち出していました。
リセ・インター学費10~20%増 富裕層以外は厳しく
セナのオリヴィエ議員は、高額になる一方の学費に「このままでは、在外教育が超富裕層に限定され、より多くの子供にフランス的教育を受けさせるという本来の主旨から外れようとしている」と現状を厳しく批判し、政府は今後の方針を明確にすべきだと述べています。
ちなみにニューヨークにあるリセ・インターナショナルの学費は、一人当たり年間約43,600ユーロ(約800万円)、東京、北区にある、東京国際フランス学園では、フランス国籍の子供は150~160万円程度、日本人なら200万円ほどかかります。
オリヴィエ氏のレポートには、2030年までに駐在員教師の数を倍にする計画について、直近での駐在員待遇の派遣職員や教師の増員を中止し、明確な戦略、特に強化地域を限定して原資を効果的に使うといった推奨案が盛り込まれています。
出典:France Info, AEFEオフィシャルサイト
執筆:マダム・カトウ












