パリ、バスチィーユ広場(7月23日、筆者撮影)
2024年7月26日(金)、いよいよ始まるパリ五輪、オリンピック史上初めてスタジアムではなく市中での開催、しかも選手団はパリの中心を流れるセーヌ川を船に乗って入場するという大胆な演出です。本日のパリのお天気はあいにくの雨ですが、3時間45分にわたるセレモニーは驚きの連続になるでしょう。開会式の影響で、13時からは周辺地域は通行止め、地下鉄の閉鎖駅が多数あるなど移動には注意が必要です。
206か国、7,000人が船数百隻で入場、観客30万人
選手団を船は、セーヌ川のオステルリッツ橋(pont d’Austerlitz)からトロカデロ(Trocadéro)までの全長6kmにかけて進んでいきます。途中、ノートルダム寺院をはじめ、ルーブル美術館コンコルド広場(Concorde)、オルセー美術館などパリを象徴する歴史的建造物の間を通りぬけ、エッフェル塔が位置するイエナ橋(pont d’Iéna)のフィニッシュラインに到着します。
河岸に設置された観客席とその上の道路を閉鎖して作られた立見ゾーンを含め、326,000人という史上最大数の観客が参加します。参加者がセレモニー全体を見れるように、80台もの巨大なスクリーンも用意されています。
選手団の入場は、伝統にしたがいオリンピック発祥の地であるギリシャからはじまり、開催国フランスがアンカーを務めます。
3時間に渡るショー、セリーヌ・ディオン、レディガガ
本日のショーの詳細は「サプライズ」効果をねらってなるべく明かさないようにしていたようですが、すでに数か月前からカナダ人歌手、セリーヌ・ディオンの名前はメディアにでていました。
健康上の理由で自身のワールドツアーをキャンセルしたものの、パリ五輪のために今週23日にプライベートジェットでカナダ、ケベック州からパリ入りしています。フランスのシャンソン歌手、エディットピアフの『愛の讃歌』(”L’hymne à l’amour “)を歌います。
フランスからは若手人気歌手アヤ・ナカムラ(Aya Nakamura)が、やはりフランスのシャンソン歌手シャルル・アズナブール(Charles Aznavour)の曲を歌います。
また、本当に来るのか?と噂されていたアメリカの人気歌手レディ・ガガも出演のためパリ入りしています。
パリ陸海空で厳戒態勢、空港、18時半よりすべてのフライト発着禁止
本日18時半以降、パリから半径150km以内の上空飛行が禁止されます。これにより有事に軍用機が10分以内に目的地に到着することができます。
そのため、パリ、シル・ド・ゴール空港(Paris Charles-de-Gaulle)、オルリー空港(Orly)、ブルジェ空港(Bourget)さらにボーヴェ空港(Beauvais)の4空港では、18時半以降の発着便はすべてキャンセルされています。
それ以外の空港発着便についても、禁止区域を迂回して飛行することになります。
ドローン攻撃に備え
パリ市内の上空は軍用ヘリコプターが警戒にあたり、ドローン攻撃防止のため、数キロメートル先のドローンを動作不能にするアンチドローンガンが装備されています。
地上ではスナイパーが各所に待機します。
セーヌ川、テロ対策に水中にフェンス設置
本日、セーヌ川の水中にはテロ防止のためのフェンスが張り巡らされ、電波による不審物探知が行われます。選手団を運ぶ94隻の船のほかに86隻の船が警備にあたります。
地下鉄駅、河岸沿いは全て閉鎖
セーヌ川沿いにあるメトロの駅は13時より多数の駅が終日閉鎖されます。
閉鎖対象駅:シャンゼリゼ=クレモンソー(Champs-Elysées-Clemenceau)、コンコルド(Concorde) 、チュイルリー(Tuileries)、シテ(Cité) 、ケ=ドゥ=ラ=ラペ(Quai-de-la-Rapée ) 、6番線のシャルル=ド=ゴール=エトワール駅( Charles-de-Gaulle-Etoile)とデュプレックス駅 (Dupleix)の間のすべての駅、ポンヌフ(Pont-Neuf)シャトレ― 7番線と11番線のみ(Châtelet) 、ポン=マリー(Pont-Marie) (7) et あるままルソー(Alma-Marceau)
郊外列車RER C線 est のシャン=ドゥ=マルス=トゥール=エッフェル(Champs-de-Mars-Tour-Eiffel)ポンダルマ(Pont-de-l’Alma)、ミュゼ・ドルセー (Musée-d’Orsay)
フランス国鉄、16時以降パリ主要3駅で運転見合わせ
パリ、オーステルリッツ駅(gare d’Austerlitz)、リヨン駅(gare de Lyon)、ベルシー駅(gare de Bercy)の3駅は、本日16時以降、高速列車TGVなどの発車を見合わせになり、到着便のみとなっています。
これは警備上の理由で、夏休みで通常より多い出発客と到着客の両方が一同に駅に集まるのを避けるためです。
パリ市民としては市中開催の大変さを感じますが、今晩19時半(フランス時間)から、世界の10憶人が前代未聞のオープニングセレモニーを観るためにテレビの前に釘付けになるでしょう。
執筆:マダム・カトウ