フランス語を勉強している皆さんなら、高い語学レベルさえあればフランス語会話で悩むこともなくなるのにと一度は思ったことがあるのではないでしょうか?私もフランス語を勉強し始めたばかりの頃はよくそう思っていました。ですが実際には、語学レベルが上がるとそれぞれのフランス語レベルに応じてさまざまな問題が出てくることに気づかされます。
フランス語上級者が陥りやすい落とし穴とは何か?その落とし穴に陥らずにフランス人と楽しくコミュニケーションするためにはどんなことに気をつけたらいいのか?フランス生活での体験談を交えながらご紹介します。
フランス人とのトラブルにイライラしやすいのは初級者か上級者か?
私はパリのフランス語学学校に勤めていたことがあります。私が勤めていた語学学校では、フランス語の授業以外にも生徒のフランス生活に関する相談対応が大切な仕事となっていました。数少ない日本人スタッフだった私のところへはトラブルに巻き込まれた日本人生徒さんがよく相談にきていました。様々な相談にのっているうちに、「初級レベルの生徒さんより中級・上級レベルの生徒さんの方がフランス人とのトラブルにイライラしやすいようだ」と思うようになったのです。
語学レベルが上がれば上がるほどフランス生活はスムーズになっていくように思われますが、どうしてフランス語レベルの高い生徒さんの方がイライラしやすいのでしょうか?
フランス語レベルが上がると不都合なこともある?
フランス語レベルが上がると、身の回りの状況がよりよく理解できるようになります。これはうれしい反面、不都合なこともあるようです。初級レベルのフランス語では理解できなかったネガティブな情報まで理解できるようになるからです。
たとえば初級レベルの方はフランス人とトラブルになったとき「相手が怒っている」という状況は理解できても次のような具体的な状況は理解できないことが多いものです。
● 相手のフランス人はなぜ怒っているのか?
● 相手のフランス人は自分の行動のどこを批判しているのか?
● 相手のフランス人は怒りの気持ちをどういう言葉で表現しているか?
フランス語が初級レベルの場合、身の回りで起こっていることが「なんとなく」しか理解できないため、たとえフランス人から理不尽にののしられていたとしても、直接感情をかき乱されることがありません。
ところが語学レベルが上がってくるとそうはいかなくなってきます。フランス人の不愉快な言い回しや理不尽さなどが理解できるようになり、たとえば次のような感情が心に芽生えることになります。
● 相手のフランス人は私のことを誤解している。私は悪くない!
● こちらにも言い分がある。相手のフランス人は冷静に人の話を聞くべきだ。
● たとえこちらに落ち度があったとしても、その言い方はひどすぎる。
特にフランス語中級者の場合、相手のフランス語や自分の置かれている状況は理解できても、フランス語で相手の誤解を解いたり自分の正当性を上手に主張したりすることまではできないことが多いので悔しい思いをすることも多くなります。
では自分の置かれている状況を理解した上でフランス語で自分の言い分を主張することのできるフランス語上級者は、いったい何にイライラしてしまうのでしょうか?
次回は、フランス語上級者がイライラする理由についてお話します。
おたのしみに!
執筆:マナミ