食欲の秋、という言葉がぴったりの10月。フランスでは毎年この時期に、食べることや味わうことについて考える「味覚週間 (La Semaine du Goût)」が開催されます。
フランス各地でさまざまなイベントが開催され、食べることへの理解を深めるこちらの取り組み。今回は、パリで開催されるイベントを中心に、その魅力をご紹介します。
「味覚週間」って?
「味覚週間(La Semaine du Goût)」は、1990年にフランスで始まった食育の取り組みです。全国の料理人や生産者、飲食店など、食に関わるさまざまな人が参加し、試食や料理体験、ワークショップなどを通して、味わうことの楽しさや食文化を伝えています。
2026年は10月12日(月)から18日(日)まで、フランス各地の学校で食の専門家が教室を訪れる「味覚のレッスン(Leçon de Goût)」などが実施されるほか、一般向けにも、料理体験や食材の紹介など、食にまつわるイベントが多数行われます。
パリの市場が「味覚の教室」に!
記事で紹介しているパリの市場マップ(AI生成画像のため位置はイメージ・目安です)
今年の開催で注目したいのが、パリ市内各地の市場を舞台にしたイベントです。
例えば10月14日(水)には、パリ1区のサン=トノレ市場(Marché Saint-Honoré)で、シェフと一緒に市場の商品を使って料理を作って試食までするワークショップが開催されます。翌15日(木)には、同じ1区のレ・アル市場(Marché Les Halles)でも同じテーマのイベントが予定されています。
また、12区のドメニル市場(Marché Daumesnil)では16日(金)に、市場の商品や売れ残りを使ってシェフが経済的な料理を実演。料理のコツを聞きながら試食も楽しめるほか、19区のレユニオン市場(Marché Réunion)では18日(日)に、旬や食品ロスをテーマにしたワークショップが行われる予定です。
いつも食材を買っている市場が、食について学び、味わう場所になるこの機会。普段とは少し違った市場の楽しみ方を見つけてみてはいかがでしょうか。
目を閉じて、何の味?「ブラインドテイスティング」
味覚週間ならではの体験が、「ブラインドテイスティング(dégustation à l’aveugle)」です。
10月16日(金)には2区のブルス市場(Marché Bourse)で、市場の商品を目で見ずに味わい、味や食感を手がかりに、その商品の産地や旬、調理方法について学ぶイベントが行われます。
ほかにも、11区のメニルモンタン市場(Marché Ménilmontant)やポパンクール市場(Marché Popincourt)、19区のクリメ=キュリアル市場(Marché Crimée-Curial)、20区のダヴー市場(Marché Davout)などでも、ブラインドテイスティングが予定されています。
5区のモンジュ市場(Marché Monge)では18日(日)に、香辛料やハーブなど、市場の商品から漂う香りを手がかりにするワークショップもあります。
目で見ればすぐに分かるものでも、視覚を隠してみると意外と難しいもの。「これは何だろう?」と考えながら味わうことで、普段は意識していなかった香りや食感に気づくきっかけになりそうです。
食用花やキノコも!知らなかった食材に出会う
市場で出会えるのは、いつもの野菜や果物だけではありません。
5区のモベール市場(Marché Maubert)では、10月17日(土)にフランス産の食用花と、それらの料理への使い方を紹介するイベントが開催されます。16区のオートゥイユ市場(Marché Auteuil)でも14日(水)に、食用花の味や料理への利用方法を紹介。
また、秋らしい食材として、キノコをテーマにしたイベントもあります。
7区のサックス=ブルトゥイユ市場(Marché Saxe-Breteuil)では17日(土)、16区のポルト・モリトール市場(Marché Porte Molitor)では16日(金)、15区のグルネル市場(Marché Grenelle)でも18日(日)に、それぞれキノコの種類や旬、料理への使い方を紹介します。
さらに、13区のオーギュスト・ブランキ市場(Marché Auguste Blanqui)、14区のエドガール・キネ市場(Marché Edgar Quinet)、15区のルクルブ市場(Marché Lecourbe)では、旬でありながらあまり知られていない、あるいは忘れられつつある食材を発見するイベントも。
知らないものを食べてみる、旬のものを知るという小さな体験も、味覚を広げるきっかけになりそうです。
「おいしい」だけじゃない。食品ロスについて考える

2026年のパリのプログラムでは、食品ロスや「無理なく、手頃に食べること」もテーマになっています。
1区のサン=トノレ市場やレ・アル市場、9区のサント=セシル市場(Marché Sainte-Cécile)では、シェフが市場の食材を使って、経済的で食品ロスを減らす料理を実演。料理を作るだけでなく、食材をより上手に使い切るためのコツも紹介されます。
8区と17区にまたがるバティニョール・ビオ市場(Marché Batignolles Bio)では、10月17日(土)に「経済的なレシピと持続可能な食」をテーマにしたワークショップを開催。旬の食材を使った料理をシェフが実演し、試食を楽しみながら、持続可能で手の届きやすい食生活について考えます。
食品ロスを減らすことは、環境のためだけではなく、買った食材を最後までおいしく使い切ることで、日々の食費を抑えることにもつながります。味覚週間は、食を楽しみながら、普段の食生活を少し見直す機会にもなっているのです。
フランス生まれの「味覚教育」は、日本にも
フランスで1990年に始まった「味覚週間」は、日本にも広がりました。
日本では2011年から「味覚の一週間」の取り組みが始まり、料理人や生産者などが小学校を訪れて、五感を使って味わうことや、基本の味、食材について伝える「味覚の授業」が行われています。
過去 15 年間に2,621 校 、16万人を越える児童を対象に授業を実施。五つの基本の味を学んだり、実際に食材を味わったりと、さまざまな体験を通して食について学びました。フランスで生まれた「味わうことを通して食を知る」という考え方は、日本でも子どもたちの食育の場に取り入れられているのです。
気になるイベントは公式サイトで探してみよう
市場で旬の食材に出会い、知らなかった食べ物を味わったり、目を閉じて香りや食感に集中したり。さらには食をめぐる歴史や文化を知ったり。「味覚週間」が教えてくれるのは、単においしいものを食べよう、ということではなく、食べることを入り口に、その土地や人、文化まで知るということかもしれません。
今回紹介したのは、2026年の「味覚週間」中にパリで開催されるイベントのほんの一部です。
パリのマルシェでのイベントについては、パリ市の公式ページで、開催日や時間、内容を確認できます。
また、「味覚週間」公式サイトの「Programme」では、フランス各地で開催されるイベントを検索できます。パリ以外で開催されるイベントも探せるので、旅行やお出かけの予定に合わせてチェックしてみてください。
なお、イベントによって対象者や予約の要否などが異なるため、参加する際は各公式ページで最新情報をご確認しておくと安心です。
2026年「La Semaine du Goût」公式サイト
公式サイトを見る
パリ市公式・市場で開催される「味覚週間」イベント
パリ市のマルシェイベント一覧を見る
執筆:hana












