今日はフランス共和国の大統領選挙についてお伝えします。
ご存知の方も多いと思われますが、フランスの大統領はアメリカと同じく国民による直接投票で選出されるので、大統領選が近づくにつれて国中がその話題で持ち切りです!
大統領選に出馬する条件
かつてフランス大統領の任期は7年でしたが、2000年の国民投票によって5年に短縮されました。2002年より現在の5年任期(le quinquennat)です。
さて、大統領選挙についてまずは初歩的な質問です、どんな人に立候補の資格があるのでしょうか?
答えは簡単なようで実は複雑です。
① 23歳以上のフランス国民(=国籍を保持している者)
② 国会議員や地方議員から500人以上の署名を集められる者
条件①だけでいいなら政治家でなくとも誰でも立候補できますが、加えて条件②を満たすのは至難の業です!とすると普通に考えて、大統領選に正式に立候補できるのは「名の知れた現役の政治家」、ということになりますよね?
高い支持率でも「500の壁」には苦労する
確かに、テレビに出演しているような巨大政党の候補者なら、500人分の署名なんて数日あればすぐ集まりそうなものです。しかーし、世論調査で高い支持率を獲得している候補者でも、この「500の壁」を越えるのに苦労している方がいるんです。
それはこの人、極右国民戦線(FN)のMarie Le Pen 氏(写真右)
この方は前回の大統領選挙までFNの候補者だった、Jean-Marie Le Pen氏(写真左)の娘でFNの現党首。お父様は2002年の大統領選挙の第一回投票において、社会党(PS)のジョスパン氏を抜いて2位に勝ち上がり、シラク大統領との決戦投票にまで昇りつめた人なのです。
ただFN(Front National)という政党は「極右派」なので、一般には国民から危険視されたり敬遠される傾向にあるため、父親のルペン氏も2002年の決選投票ではシラク大統領に大差で敗れる結果となりました…
しかし長引く不況の中、反欧州的態度や移民政策反対を唱えるFNの支持率は近年上昇中で、現党首マリーさんの人気も高く、世論調査では3位の支持率を得たこともあるんです!
そんな彼女ですが、例の「500人以上の署名」を集めるのに悪戦苦闘していると連日報道されています。
あとがき
お父様の時代も然り。FNの現役議員が多くない、というのが主な原因だと思われますが、これだけ注目を集めている有力な候補者が、議員の署名が500人に満たないという理由だけで、正式な立候補者になれないというのはなんだか不思議というか、皮肉なものですよね…
執筆 Miwa