前回よりひきつづき、現在パリの語学学校に在籍する筆者の、最近のDELF受験体験記をお送りしています。今回はいよいよ2日目、筆記試験で扱われたテーマについてお届けします。
フランス政府認定の仏語検定試験DELFの内容についてはこちら、当日編その1はこちらをご覧ください。
テーマはフランスの現在
さて、個別の口頭試験が終わり、2日目は全体で行う筆記試験です。
DELF/DALFの問題では、常に現代フランス社会(もしくはフランス語圏社会)の諸問題・諸現象が扱われます。例えば、2016年12月にパリで出されたB2の筆記試験では以下のようなテーマでした。
リスニング問題(30分/25点満点)
その1(長め/2回放送)
バンリュー・ツーリズム。観光名所の集中するパリ市内だけでなく、郊外(バンリュー)のよさも味わってもらおうと結成されたアソシエーションへのインタビュー。
登録型B&Bのようなシステムで、観光客に郊外の個人宅に泊まってもらい、家の主人に地区の歴史を語ってもらったり、自然や治安の良さに触れてもらうことで、ある程度の成功を収めている。
その2(短め/1回のみ放送)
教育論。現行の教育制度を問い、どんな生徒にも劣等生のレッテルを貼ることなく、生徒のモチベーションを引き出し、人格を尊重することで効果を出していくような枠組みを提言。
文章問題(1時間/25点満点)
その1
加速するシェア文化。インターネットによる車やアパートの個人同士の貸し借り・売買のみならず、今やカーシェアリング等「所有」をシェアすることで時間やお金を節約し、効率化する動きが広がっている。その利点と問題点。
その2
書籍売り上げの二極化。文学賞などで話題となった本は一人勝ちのように売れ続ける一方で、話題とならない大多数の本は低迷の一途。その解決策のひとつとして、(現在は禁止されているが)書籍をテレビで宣伝する枠を、一定枠無料で提供してはどうか。
作文問題(1時間/25点満点)
あなたの街で毎年夏の終わりに開催されている音楽祭が、今年は財政上の問題で中止となる。あなたは市長に宛て、それに反対する旨の手紙を書く。このイベントの持つ芸術的意味、近隣の商店街に及ぶ経済的恩恵、また開催のための具体的な提案なども含める。(250語)
準備と戦略を!
さて、この日は前日と同じパスポートや受験票、ボールペン等に加え、スマホもしっかり充電、時計も用意。以前、試験会場に時計がなくて困ったことがあったのです。
幸いこの日はパソコンの時計を前のスクリーンにバーン!と出してくれたので問題なし。
懸案事項だったリスニングも、前のほうの席に座ることができ、音量も充分でした。
DELFの問題はとにかく量が多い、長い、よく考えて解かないといけないのに時間がない、常にそれが課題です。そこで戦略が必要になってきます。
次回は、リスニングが苦手なうえ、読解も作文も人より時間のかかりがちな筆者が、自分なりに立てた戦略、また実際受けてみて重要だと思ったポイントなどについてお伝えします。
引き続きお楽しみに。
執筆 Rana