10月30日(金)、1日の感染者が47,000人、死者235人となり、現在21,000人が入院するフランスで、28日に2回目のロックダウンが発表されましたが、国中がストップした今年3月〜5月とは異なる内容の詳細が、昨日29日、カステックス首相(Jean Castex)より発表されました。
小中高校は継続、大学はオンライン授業
まず、前回のロックダウンと大きく異なる点の一つが学校の継続です。
コロナ感染の子供へのリスクが低いことから、高校までの学校や保育園、幼稚園は閉鎖されません。
前回、オンラインによる自習などが導入されたものの、家にパソコンがない、インターネットが繋がらない家庭などで「格差」が生まれ、生徒が学校と音信不通になるなどが問題になり、さらに子供を預けられずに休業を強いられた父兄が多数いたためです。
ただし、今まで11歳からだった外出時のマスクの着用義務年齢が、6歳以上に下げられました。
学校給食も、経済的理由で子供に弁当を持たせられない家庭や、共働き家庭に配慮し、継続することが決まっています。
テレワーク基本も出社も可、製造業など稼働
前回のロックダウンでは、テレワーク以外の企業活動が禁止されたために企業活動が30%減になったことから、今回は工場など製造業、農業、土木業なども継続し、それ以外の業種もテレワークが基本とされるものの、不可能であれば社員を出社させることができ、出張も許可されます。
今回こういったことが可能になった背景には、前回品薄だったマスクや消毒ジェルなど、企業側に社員の安全確保の準備が整っていることが挙げられます。
よって、今回企業活動は15%減に留まることが予測されています。
一方、レストランやカフェ、バー、多くの商店は閉店を余儀なくされます。しかし、例外的に営業を許可される店は、前回のスーパーや食料品店、薬局の他に、DIY店、タバコ屋、新聞などを売るキオスクが追加され、さらに前回禁止だったマルシェの開催も許可されています。
商店は「来店不可」ですが、オンライン、電話などの注文販売は奨励され、レストランやカフェも前回同様デリバリーや店内に顧客を入れずに注文を渡す「テイクアウト」はできます。
収入減の商店、中小企業への支援拡大
閉店を余儀なくされたり、大幅な収入減となる企業や商店への支援は前回よりも手厚く、従業員の休業補償、社会保障費用の免除、さらに前回は一律1500ユーロ(約183,000円/1ユーロ=約122円)だった支援金は、最高で10,000ユーロ(約1,220,000円)までに増額されます。また、対象企業は前回の従業員10人までから50人までに拡大されます。
また、個人事業主も状況により最高で月1500ユーロの支援金が受けられます。
外出は前回同様1時間、証明書を持参
必需品の買い物、散歩のための外出は自宅から1キロ以内で許可されています。仕事に行く人は会社の証明書、子供の送り迎えには学校の証明書が必要です。
公共の場や個人の集まりは禁止ですが、高齢者や病気の人など「支援」が必要な人の家に行くことは許可され、事前に認可を得たデモは禁止されていません。
また、前回多数の死者を出した医療介護施設は、第一波の教訓からコロナ感染対策を徹底した事から、面会が引き続き可能になっています。
プロやフランス代表レベルのスポーツは許可され、試合もできますが、無観客での試合となります。
コロナ疲れのフランス国民、「諦めの境地」
フランスの有力紙ル・フィガロ(Le Figaro)が行った世論調査によると、フランス人の10人中7人が「ロックダウンに賛成」という結果になっていますが、パリ市や一部の都市で、数十人単位の小規模な「ロックダウン反対デモ」も行われました。
また、人口数百人で感染者ゼロの村では「なぜ私たちもロックダウン?」という声もあがっています。一方、ロックダウンの発表直後から、パリなど大都市では前回同様地方へ「脱出」する車で混雑しました。
ボルドーでは「最後の飲み会」深夜まで
人口25万人でフランスで9番目に人口が多い割りに感染者が少なく、これまで夜間外出禁止になっていなかったボルドー(Bordeaux)市中心部では、昨晩12時のロックダウン開始ギリギリまで、カフェやレストランで「最後の飲み会」を楽しもうとする客で賑わっていました。
今回のロックダウンでは、前回のような未知のウイルスに対する「恐怖感」も薄れ、薬や食料品の買いだめに走る人はほとんどいません。
ロックダウン中は「仕事だけしろって事?」
長引くコロナ禍で、外出時のマスクの義務、夜間外出禁止、人数制限など、様々な制約に人々はストレスを感じています。
中には「ダラダラ長引かせないで、終わらせる対策はないわけ?」と苛立ちを見せたり、「仕事はしてもいいが、楽しみは無しなわけ?」と、テレビのインタビューに答えている人もいます。
とはいえ、全体的には「諦め」ムードが漂っています。
執筆:マダム・カトウ