フランス外出禁止強化、スーパーの店員に《特別ボーナス》を国が奨励

2020.03.24

フランス外出禁止、スーパー従業員にボーナス

3月24日(火)、昨日から本日にかけて新型コロナウイルスの感染者が860人、死者が186人増えたフランスでは、感染拡大抑止のための外出禁止令を強化し、違反については罰金のみならず場合によって禁固刑も追加されました。一方、感染リスクを抱えつつも営業を続ける大手スーパーの一部は、従業員に対し特別ボーナスを支給すると発表しました。

 

首相、外出禁止《数週間》を示唆、罰金最大3700ユーロに

エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は昨日のテレビ演説で、「外出禁止は数週間にわたる」と延長を示唆しました。また、現在の外出禁止令の「例外的外出」の内容をより厳格なものに変更しました。

当初、健康維持のため《自宅の近所でスポーツなどを行うための短時間の外出は可能》でしたが、拡大解釈して自宅から何キロも離れた場所に長時間にわたって外出する人が多数いることから、今回は《自宅から1キロメートル以内、1時間以内》と改正されました。

また、開催が続いていた屋外のマルシェ(野外非常設市場)は「基本的に禁止」としたうえで、最終判断は自治体に委ねられます。これは、特に村など規模の小さい自治体に配慮したものと思われます。ちなみにパリはアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長がすでに昨日マルシェの閉鎖を発表しています。

通院は特に制約なく許可されていましたが、今回「緊急性のある場合か、持病の定期的な治療」に限られました。

違反者への罰金は1律135ユーロ(約16200円/1ユーロ=120円)でしたが、本日より1回目は135ユーロ、15日以内にもう一度違反すると1500ユーロ(約18万円)、さらに30日以内に4回違反すると、3700ユーロ(約44万4000円)の罰金、もしくは6ヶ月の禁固刑が追加されました。

 

買いだめ一服でスーパー売り上げ減、農家もピンチ イチゴ、レタス売れず

外出禁止令が出た前後、大勢の人がスーパーに押し寄せ、大量の買い物をする姿があちこちで見られましたが、いわゆる「パニック買い」は落ち着きを見せています。現在も店の前には行列ができていますが、1メートル間隔で並び、一度にたくさんの買い物客を入店させない入場制限のためで、店内は空いています。

外出禁止から1週間が経ち食料の買いだめが一服したため、店内での感染を恐れて客足が遠のき、さらに滞留時間が短くなるなどで売り上げ減となっているスーパーが増えています。

保存の利くパスタや米、小麦粉、缶詰、牛乳などは品薄となり、多くの食品メーカーがフル稼働で生産を続ける中、一部の食品は消費者に敬遠されています。

例えば、暖かくなってくると特に売れてくるレタスですが、新鮮なうちに食べ切ってしまう必要があるため、需要が大幅に減っています。

収穫のための外国人労働者、入国できず

今月からいよいよ収穫の時期となるイチゴも日持ちがしないため、スーパーから農家への注文が激減しています。

また、毎年この時期にモロッコなど海外からの季節労働者を雇って収穫していたイチゴ農家では、入国制限や渡航禁止などの影響で安い労働力が確保できず、「今年は収穫をしない」という苦渋の決断を迫られています。

 

フランススーパー大手オーシャン、社員65000人にボーナス

財務大臣ブリュノ・ル・メール(Bruno Le Maire)は企業に対し、感染の危険を冒して就業するスーパーの従業員などに1000ユーロ(約12万円)のボーナスを支給するよう呼びかけました。

このボーナスは5月31日までに支給することが条件で、金額は1000ユーロを上限に所得税および社会保障費用が非課税となります。

これを受け、フランス第2の大手スーパーチェーン「オーシャン(Auchan)」は、早速1000ユーロのボーナスを65000人の社員に支給すると発表しました。

感染防止に各スーパー防備

また、フランスの大手スーパー各社は、従業員と顧客の安全を確保するため、レジの従業員と顧客の間に透明なアクリル板のつい立てを配置し、カートやカゴについても利用の度に消毒するといった感染防止対策を取っています。

執筆;マダム・カトウ

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