フランス語学習をしている時、なかなか新しい単語が覚えられない、という人も多いと思います。
今回は、覚えにくい単語や似た意味の単語をまとめて覚えてしまえる、秘密のメソッドをご紹介します。
似た単語の違いを「イメージ」で理解する
私たちが辞書で単語を調べるとき、その「意味」だけを覚えようとしてしまいがちです。一発で覚えられる場合はそれで充分ですが、どうしても覚えられない単語も中にはあります。
訳は同じでも性質は違う
フランス語の単語には、日本語に訳すと同じ言い方になる、しかしまったく性質の違う単語があります。
例えば、 de と à 。
それぞれを辞書で調べると、
【 de 】 ①…の ②…用の ③…で ④…からの ⑤…に(よって) etc.
【 à 】①…に ②…で ③…の ④…用の ⑤…から etc.
※上記の番号は、辞書に載っている番号とは関係ありません。
全然違う単語なのに、訳だけを見ると同じ言い方が多いことがわかります。そして、どちらの単語も後ろに動詞不定詞(英語で言う原形)が来るときは「~すること」と訳します。
単語の意味を一生懸命覚えても、どのように使い分けるかわからなくなるのは、このように日本語訳が同じようになってしまうためです。
単語の性質を確認する
日本語上の意味ではなく、その単語が本来兼ね備えている性質は何かを確認することから始めましょう。
まずは de 。この単語は、英語にすると of や from といった言葉に該当します。これは日本語にすると「~の」「~から」ですね。これを言葉だけで覚えるのはむずかしいので絵にします。これが「 de の言葉イメージ」です。
「何か」。これはフランス語で de の後ろに来る単語です。 de という言葉が持っている性質は、この何か「から」やってくる、取り出される、というふうに覚えておきましょう。
一方、 à は、英語では in / at / to に該当します。これは日本語にすると「~へ」「~に」「~で」ですね。こちらも絵で「 à の言葉イメージ」を確認しましょう。
à の持っている性質は、この何か「へ」向かっていく というように覚えましょう。この「何か」もフランス語で à の後ろに来る単語です。
言葉イメージを比べてみると…
今のこの言葉イメージをしっかりと把握したら、次は似たような表現で意味の違いを比べてみましょう。
Une tasse de café.
Une tasse à café.
どちらも「コーヒーのカップ」と訳せます。これを、言葉イメージの中の「何か」の部分にコーヒーを、そして矢印の左側にカップを当てはめます。すると、 de はコーヒーというかたまりから、カップにコーヒーが注がれているような絵に見えませんか?そして、à の方はカップがコーヒーへ向かっていくように見えてきませんか?
さあ、これを元にもう一度詳しく訳してみると、
Une tasse de café. コーヒーが入った一杯のカップ
Une tasse à café. コーヒーを飲むための一つのカップ
と、全然違う意味であることがわかりますよね。
もちろん、すべての意味がこのようにすっきりと言葉イメージ通りに当てはまるわけではありません。しかし、覚えにくい単語や表現を学習する時、この言葉イメージは大きく役に立ちそうですね。
意味がたくさんある動詞は「動作イメージ」で
言葉イメージは絵である必要もありません。たくさんの意味が含まれる動詞であれば、その「動作イメージ」を体の動きで覚えてしまえばいいのです。
Verserという単語でトライ
verser という動詞は
①注ぐ ②払い込む、支払う ③(血・涙を)流す ④まき散らす ⑤倒す ⑥配属する
というように、一見すると関係のなさそうな動作が並んでいます。
verser の持っている本来の性質は何でしょうか。今回は一つ目の「注ぐ」に注目します。この動詞の持っている性質は「何かを注いでいる様子、何かが注がれている様子」ですね。それをイメージしながら、両手にかかえたたくさんの水をドバドバと前に「注ぐ」動作をします。
そしてこの動作をしながら、ドバドバとお給料が銀行口座に振り込まれたり、何かをまき散らしたり、どこかの部署に人を配属する、と動作イメージと意味を結びつけます。
このように自由にイメージを作ってみると、ただ単語の意味を覚えるだけよりもずっと楽しく学習できるのではないでしょうか。
自分なりの言葉イメージを作ろう
言葉イメージは、「絶対にこうでなければいけない」というものではありません。あなたがわかればそれでいいのです。そして、すべての単語に言葉イメージを作る必要もありません。「覚えられないものだけ」「ややこしそうなものだけ」作れば大丈夫です。
外国語の単語を覚えるのは大変です。日本語にうまく訳せないような単語や、他の単語と何がどう違うのかわからないものもありますよね。そういう時は、言葉イメージや動作イメージなど、自分だけのイメージ辞書を作って上手に活用してみませんか?
執筆 Daisuke