毎日の食事の準備で、いつもの味付けに少し変化をつけたくなることはありませんか?簡単に使えて料理の味付けにバリエーションを加えることができる、そんな調味料があればレシピのレパートリーも広がります。
今回はフランスの豊かな土壌と伝統の技術で作り上げられた調味料を2つ紹介します。フランスのシェフたちも愛用するこの調味料、一体どのようなものなのでしょうか?
どんなお料理にも大活躍!基本の塩
料理好きの方なら、フランスの塩については耳にしたことがあるかもしれません。フランスで有名な塩の産地は3つ、どれも100%の天然なものです。
| ゲランドの塩
( Le sel de Guérande) |
フランスの海塩の中で唯一、高品質を保証する国家認証であるラベル・ルージュ(Label Rouge)を獲得 | 粗塩、細塩、花の塩、ハーブ入りなど 塩のバリエーションが豊富 | 煮込み、茹でる、下味など日常の調理に大活躍 |
| カマルグの塩
(Le sel de Camargue) |
フラミンゴが舞い、水面がピンクに染まる地中海の美しい自然と土壌の豊かさが特徴の高品質な塩 | さらっとした白い塩でまろやかな風味に定評 | プロの料理人も愛用 |
| イル・ド・レの塩
(Le sel de l’Île de Ré) |
大西洋に浮かぶリゾート地 レ島の名産品
塩田の表面にできる結晶だけを手作業で集めた塩の花は希少で高級品 |
塩の結晶の食感と繊細な味わいが特徴
塩の花が贈呈品として人気 |
料理をプロの味に近づけたい時に使う特別な塩 |
どの塩も精製されていないため、マグネシウム、カルシウム、ビタミンなどのミネラルが豊富に含まれています。
イル・ド・レの塩は、高級エピスリーで購入できますが、ゲランドの塩とカマルグの塩はスーパーで簡単に手に入ります。扱うお店によってパッケージや種類が変わりますので何軒か回って気に入ったものを探すのも楽しいでしょう。

EUが認めた伝統ブランド!高品質の証「IGP」に認定される
IGP (l’indication géographique protégée)とは日本語では地理的表示保護や保護指定地域表示などと訳されます。
I = Indication (アンディカシオン)表示
G = Géographique (ジェオグラフィック)地理
P = Protégée (プロテジェ)保護
その土地の気候や、代々受け継がれてきた伝統的な職人技で作られたものとしてEU(欧州連合)が認めた本物のご当地ブランドというお墨付きのマークです。ゲランドの塩は2012年、イル・ド・レの塩は2023年にこのIGPの認定を受けています。
消費者にとって、このIGP認定によって偽物にだまされず安心してこれらの塩を堪能できるのは大きなメリットです。高品質な塩でありながら、物価高のフランスでもまだまだ日常的に使える手頃な価格帯で手に入るのは嬉しい限りです。
シェフやパティシエの多くは、これらの塩を作る際に塩田の表面に浮かび上がる白い結晶である塩の花(フルール・ド・セル/fleur de sel)を味のアクセントとして活用しています。口に入れた時のガリっとした食感、そしてその塩1粒1粒にぎっしり詰まったうまみ。このしっかりしたした味わいを活かすために調理の最後の仕上げに、パラっと振りかける使い方が好まれています。
魚、肉、野菜以外にもバター、キャラメル、チョコレートといったデザートなどとの組み合わせも抜群。日本でも、塩バターキャラメルは甘さと絶妙な塩加減がクセになる美味しさで有名ですよね。
粗塩、細塩、塩の花、どれも活用の幅は広いですが、塩のうまみを楽しみたいという方には塩の花をお勧めします。シンプルな素材のうまみを塩がぎゅっと引き出してくれますよ。
太陽の恵みたっぷり!エスプレット唐辛子

私とエスプレット唐辛子 ( le piment d’Espelette) との出会いは、友人からプレゼントにもらった小瓶でした。私が頂いたものには、バスクベレー帽をかぶった生産者とみられる笑顔のおじいさんと真っ赤な唐辛子の写真が付いていて、とても印象に残っています。
エスプレット唐辛子は小瓶に入っていることが多く、その中のパウダーは鮮やかなレッドオレンジ、味はマイルドで辛さは黒胡椒と同じレベルといわれています。
AOP認定のエスプレット唐辛子
AOP (l’appellation d’origine protégée) 日本語では 原産地呼称保護や原産地呼称統制と呼ばれています。
A = Appellation(アぺラシオン)呼称
O = Origine(オリジン)原産地
P = Protégée (プロテジェ)保護
2000年以降、エスプレット唐辛子はAOP(原産地呼称保護)の仲間入り。
製品のクオリティを保証するため、栽培や加工を行う地理的区域、苗を植える時期、さらには使用できる農薬にいたるまで細かく規定されており、その条件をクリアしたものがAOPラベル認定をもらえます。これは先ほど紹介したIGPと同じくEU(欧州連合)が認めた信頼の証です。
AOP認定のエスプレット唐辛子は、その名前の由来にもなっているバスク地方のエスプレット村が有名ですが、実は周辺の10の自治体にまたがって生産されています。エスプレット村がこの唐辛子の生産を大きく発展させその名を世に広めるために最大の貢献をした場所、という理由からエスペレット村の名を冠したAOP(原産地呼称保護)の栄誉が与えられているそうです。
シェフも愛用の調味料 その理由は?
「これを少し加えるだけで料理の味を引き締めてくれるんだよ。少し個性的な味にしたい時に使うといいよ。」と知り合いのシェフが教えてくれました。マイルドな辛さと風味の良さ、そしてオレンジ色のその見た目の華やかさが愛用される理由。使い方は、風味付けとして料理の仕上げにパラっと振りかけるのがいいそうです。
フランスの料理番組では、エスプレット唐辛子入り塩バター、ヨーグルトと刻んだきゅうりの和え物、半熟ゆで卵といった前菜の風味付けとしての使い方を紹介していました。私は、アボカドのディップ、スクランブルエッグ、煮込み料理の仕上げなどに活用しています。
先ほどのお塩と同様、プロはスイーツにも積極的に使います。
フランスで最初にチョコレートが伝わったバスク地方、その中心都市であるバイヨンヌはフランスのチョコレート文化発祥の地と言われています。ブラックチョコレートにエスペッレット唐辛子をまぶしたものが名産品とされ、ピリッとスパイスの効いた大人の味のチョコレートとしてクセになる美味しさです。
2022年、私は夏のバカンスでこのバスク地方を訪れました。バイヨンヌの市場でみかけた大量のエスペレット唐辛子のインパクトは忘れられません。山積されたフレッシュな唐辛子、真っ赤な唐辛子を干し柿のように紐で括りつけたもの、瓶詰のオイル漬け、粉末状のものなど、見ているだけも色鮮やかな赤の唐辛子パワーをもらったように感じられました。
まとめ
美食の国フランスには、豊かな土壌を活かした、公的機関によって品質がきちんと守られている食材や調味料がたくさんあります。消費者の私たちも安心して使えますし、料理のレパートリーも広がります。今回紹介した2つの調味料はフランスにある調味料の中でも特にお勧めのものです。見つけたら是非手に取ってみてくださいね。
執筆 YUKO












