フランス語学習者が使うときには気をつけよう「フランスの俗語 Gros mots」

2024.01.15

フランス人の友人と食事中、器に手がぶつかってスープが床にこぼれてしまいました。友人はイライラした様子で片づけながら、しきりに「ピュタン!ピュタン!」と言っていました。後から聞くと、Gros mots(低俗な言葉)と呼ばれる俗語の一つとのこと。

現地の街中や映画などで耳にした方も多いのではないでしょうか。ですが、Gros motsの語源を知れば分かるとおり、フランス語学習者である私たちが安易に使うのはとても危険なものも含まれています。

頻繁に耳にしますが、使うことでコミュニケーションにあらぬ誤解を招きかねない危険な言葉、知っておいた方がいいけど使わない方がいい言葉、 Gros motsを5つご紹介します。

 

merde「しまった!ちくちょう!」

本来の意味は、人や動物の糞・ろくでもないもの・苦境。どうにもならないときの感情を表します。

Merde ! J’ai oublié mon smartphone à la maison.
しまった!家にスマホを置いてきちゃった。

Ce roman, c’est de la merde.
この小説はくだらない。

ただし、試験や発表など大一番に臨む相手に「幸運を祈るよ!」という意味で言うことがあります。

Je te dis merde !
幸運を祈ってるよ!

【mince/zut】merdeに代わるGros motsではない言葉

同じく「しまった」という意味のmincezutといった間投詞に置き換えられます。

Zut ! Ça a eocore raté.
ちぇっ、またしくじった!

 

bordel「クソ!ちくしょう!」

本来の意味は売春宿ですが、現在では乱雑な場所・散らかった所という意味で用いられます。部屋が散乱しているときや混乱した状況での感情を表します。

Quel bordel !
とっ散らかってる!

Ça suffit, bordel !
ちくしょう、いい加減にしろ!

ネガティブな意味のbordelよりも「さまざまな物を売る市場」を意味するbazarを使うほうが好ましいです。

Quel bazar !
– なんて散らかっているの

 

(faire)chier「うんざりだ!」

chierの本来の意味は、糞をする。chierの前に使役動詞faireがついてfaire chierになると、糞をさせるという意味になります。うんざりしたときや、面倒なときの感情表現で用いられます。

Fait chier !」とのみ言う場合は、主語のça (それは)、直接目的語のme(私を)が省略されています。

Tu me fais chier !
君にはうんざりだ!

chierの形容詞chiantを使った表現はこちら。

C’est chiant !
うざい!

 

con/conne「バカ!」

自分自身や相手を批判したり侮辱したりするときに用いられます。

Quel con !
なんてバカなんだ!

Putain, qu’est-ce que je suis con !
クソ!なんて俺は愚かなんだ!

 

putain「クソ!ヤバい!」

本来の意味は、売春婦。怒り・驚き・失望などの強い感情を表します。フランス人の間で非常に使用頻度の高いGros motsですが、最も侮蔑的で低俗なので「使ってはいけない危険な言葉」という認識を持っておきましょう。オフィシャルな場でなくても、安易に使うと誤解を招く恐れがあります。

Putain ! Il est toujours en retard !
クソ!あいつはいつも遅いんだよ!

日本語の「ヤバい」と同様に、putainは良いものの程度がはなはだしいときにも用いられます。

Putain, mais c’est génial !
ヤバい、最高!

【purée /punaise】putainに代わるGros motsではない言葉

危険なputainの使用を避け、同じ「ピュ」という音から始まるpurée (ピュレ:野菜を煮て裏ごししたもの)やpunaise(カメムシ)という言葉を用いることができます。子どもの前などではこれらの言葉を使うフランス人もいるようです。

Punaise ! J’ai raté mon train !
– しまった!電車に乗り遅れた!

 

Gros motsが持つ危険性

Gros motsには、語源に対する侮蔑的な感情から派生したものもあります。使用する場所や相手の受け取り方次第で、暴力事件にまで発展する危険をはらんでいることを知っておきましょう。

また、Gros motsは発することで自分の品位を落とし、相手に不快感を与えかねない言葉です。「現地でよく使われているから」「フランス人っぽいから」と真似していると、知らずに口癖になってしまいます。Putainなどはどんな場面でも決して口にしないほうがよいでしょう。

 

まとめ

Gros motsは、親が子どもに「汚い言葉を使ってはいけません」と教える類のもの。日本語の俗語と同じように、場所や状況に細心の注意を払うべき言葉です。心地のよいコミュニケーションのためにもGros motsの多用は控え、美しいフランス語を話すように心がけましょう。

Natsuko

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