フランス語の学習仲間や先生に「DALF C2を受験する」と話すと、「難しいことに挑戦するね」という答えがかなりの確率で返ってきます。DALF C2は確かに難しい試験ですが、その勉強は私にとってとてもやりがいのあるものです。
今回は、私が現在奮闘しているDALF C2についてご紹介します。
DALF C2とは?
DALF C2は、フランスの教育行政を担う国民教育省が認定しているフランス語の資格試験(DELF・DALF)のうち、最もレベルの高い試験です。
そのレベルはフランス語の学習時間が1,000時間以上で「熟達した言語使用者(utilisqteur expérimenté)」に相当します。
CECR(言語に関する欧州共通基準)によると、このレベルにおいては以下の能力が求められています。
① 聞いたことや読んだことをほとんど努力せずに理解することができる
② あらゆるテーマの文章や音声資料について、事実や論証を理路整然とまとめながら再構成できる
③ すらすらと流ちょうで正確に、また適切な方法で自分の考えを伝えることができる
④ 複雑なテーマにおける細かなニュアンスをはっきり識別できる
DELF・DALF全体に共通することですが、一度合格すればディプロムが与えられ、無期限にフランス語の語学力を証明することができます。
22年度には受験料値上げ
試験は年に2回あり、毎年およそ6月・11月の日曜日に行われます。日本では国内10箇所で受験できます。受験資格に制限はないため、原則誰でも受験が可能です。
願書は直接試験センターの窓口に出向いて提出する必要がありますが、近年はオンラインでの対応が可能なセンターもあります。
日本での受験料は26,000円です。数年ごとに受験料が見直されているようで、2022年度には若干値上がりします。
DALF C2ではどんな問題が出るの?
DALF C2は「聴解・口頭表現試験(Compréhension et production orales)」と「読解・文章作成試験(Compréhension et production écrites)」の2問で構成されています。試験内容は下記のとおりです。
1.聴解・口頭表現試験(準備1時間・試験30分)
① 音声資料の内容要約(聞き取り2回)
② 資料が取り上げる問題について、自分の意見を交えて説明
③ 試験官との討論
2.読解・文章作成試験(3時間30分)
① 3~4記事の資料の読解
② 与えられたテーマに沿って700字程度の文書を作成
配点はそれぞれ50点ずつで、100点満点のうち50点以上の得点で合格となります。
これまでは「文芸・人文科学」あるいは「科学」から1つの分野を選択できましたが、現在この方式はなくなりました。
語学以外の能力も必要
DALF C2では読む・書く・聴く・話すのそれぞれの分野において、高度なフランス語運用能力が求められていることは間違いありません。まさにネイティブ並みの語学力が求められるといえるでしょう。
それだけではありません。レベルがひとつ下のDALF C1と比べても試験時間が非常に長く、資料のボリュームがあるので集中力と持久力も必要になります。
また、客観的・論理的な思考力やフランス社会への理解、さらにはどんなテーマであっても自分自身の考えや経験を絡めながら相手を納得させる能力が問われます。
語学だけでなく、様々な能力が試される試験と言えるかもしれません。
対策は大変だけど…
DALF C2対策は大変ですが、非常に「面白い」とも言えます。
私自身はフランスでの留学・就業経験がなく、フランス社会に長く身を置いたことがありません。しかしDALF C2の勉強、すなわち膨大な資料を読み聞きし、自国の場合と比較したり共通点を考えたりすることによって、現在のフランス社会について理解を深めることができるのです。
そして何より、試験官という「話し手」もしくは「読者」がいるという点で、「使えるフランス語」を身につけるための格好な機会だと感じています。
具体的な勉強方法については、また別の機会でお話しします。
執筆:ふら子