5月5日(火)、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン中のフランスで行なった18歳〜30歳までを対象にした世論調査で、フランスの若者の44%がコロナウイルス禍収束後のフランス社会に悲観的になっている事がわかりました。
体制に不信感、社会は不自由、不平等に
フランスでは、ロックダウンの解除を1週間後に控えていますが、これからもしばらくはウイルスとの共生をしいられることが予想されます。
また、未曽有の不況に陥ることがほぼ確実であるとみられることから、フランスの18歳から30歳までの若者の内、「新型コロナウイルス収束後の社会はそれ以前より悪くなる」と答えた人は44%、「体制への不信感」を抱いている人は86%に上りました。更に、76%の人が「様々な規制が厳しく」なり、自由が奪われ、さらに52%の人が「社会の格差が広がる」と答えています。
また、「経済が何よりも最優先される」、人々は助け合いよりも「個人主義が横行する」と考えている人は69%に上ります。
危機に直面し《内向的》も、解除後は《人との繋がり》を重視
今回の調査を行なった調査会社オピニオンウェイ(Opinion Way)は「非常時は、自らの幸福の拠り所を社会に求められない」ことから、人々は「内向的になりがち」と分析しています。
新型コロナウイルス 感染拡大に伴い、現在フランスでは、医療従事者、特に看護師など劣悪な労働条件にも関わらず献身的に働く人たち、感染リスクにもかかわらず働き続けるスーパーの店員やトラックの運転手、ごみ収集関係者など、これまで脚光をあびることなく「社会の縁の下の力持ち」だった人たちに対し、感謝の意と賞賛が送られています。
しかしながら、70%の若者は、「ロックダウン終了と共に、これらの人たちへの感謝の気持ちは薄れ、彼らの存在は以前のように忘れられる」と答えています。
今回の調査で唯一前向きだったのは、ロックダウンで「孤立」を強いられた若者も多かったことから、59%が解除後は「人と会う事、社交が重要」と答えている事です。
最優先は《健康》より《環境》
コロナ危機直後に政府が最優先で取り組むべき事として、「環境改善の為の目標を維持すること」を挙げた若者は56%に上ります。
これは、「介護士の給与を上げるべき」(55%)や「海外に移転された製造業をフランスに戻すべき」(53%)といった回答を抜いており、若者が環境問題を最重要事項に挙げている事がわかります。
また、これから将来に向けた政府が取り組む優先事項も「環境」が49%と「人々の健康」(19%)を大きく超えています。
フランスの若者たちは、「健康は環境に左右され、新型コロナウイルス は危機に違いないが、『環境問題になんの対策も施さないことによる危機はさらに深刻になる』」と考えているようです。
執筆:マダム・カトウ