パリ同時テロ事件(5)「とばっちり」を受けるイスラム教徒たち

2015.01.14

フランスの現在の様子は、残念ながら混乱していると言わざるを得ません。複数のイスラム教のモスクには、一連のテロ行為に対する報復行動ともとれる嫌がらせ行為が相次いでいます。また、まったく関係のないケバブ店なども襲撃を受けています。現時点では幸いなことにけが人などは出ていませんが、憎しみが憎しみを呼ぶ負の連鎖が続いている状態です。

 

イスラム教徒と過激派は関係ない

フランスは、ヨーロッパの中で最もイスラム教徒の多い国の一つです。一連のテロ事件で一番のとばっちりを受けているのは、一般のイスラム教徒の人々と言えます。

ここでは宗教の話などは極力控えていますが、今回に限り書かせていただきます。今回のテロを起こしたのは「危険な思想を持った過激派」であって、イスラム教とは一切関係ないと言うことです。これはフランスのオランド大統領も声明を出しています。

事件に巻き込まれたイスラム教徒たち

最初の新聞社襲撃でパトロール中に事件に巻き込まれた警察官Ahmed Merabetさんは、テロリストと同じアルジェリア系のイスラム教徒です。彼の遺族も「イスラム教徒と過激派を混同してはいけない」と会見で語気を強めました。そしてPorte de Vincennes のスーパーでユダヤ人が人質になった際、電源を切った冷蔵室にかくまい命を守った店員もアフリカ系のイスラム教徒です。

懸念される偏見の拡大

遠い日本にいるとなかなか実感がわかず、そして「イスラム教徒」という言葉ばかりが先走って偏見が加速するかも知れません。フランス国内でも、イスラム教徒や移民に対しての偏見や、移民排除運動が大きくなるのではという懸念があります。

しかし、どうか皆さん、イスラム教徒と過激派を混同しないでください。僕の友人にはイスラム教徒がたくさんいます。彼らは非常に友好的で親切で情に厚く、そして人を敬う人たちです。

ひとを殺めていい理由などない

新聞社襲撃が起こった1月7日夜。クリスチャンの友人、イスラム教徒のモロッコ人の友人、そして仏教徒の僕で食事をしました。モロッコ人の友人は本当に心を痛めていました。宗教など関係なく「ひとを殺めてもいい理由など何一つない」それが僕たちの出した唯一の答えです。

 

引き続き警戒が必要

今回のテロ事件は一段落ましたが、引き続き警戒が必要といわれています。今回のテロリストは用意がかなり周到で、組織だった協力があったと考えられています。今後も同じようなテロ行為が起こる怖れがあるため、渡仏の際には十分な注意が必要です。

また頻繁に集会などが行われるため、交通機関が麻痺する可能性もあります。時間に余裕をもって行動するようにしてください。

大使館の渡航情報を必ず確認

在仏日本国大使館からの渡航情報でも「特にテロの標的となりやすい場所(政府・軍・警察関係施設、公共交通機関、観光施設、デパートや市場など不特定多数が集まる場所)は可能な限り避け…」と注意を呼びかけています。

旅行などでフランスを訪れる際は、必ず事前に在仏日本国大使館の渡航情報を確認し、危険と思われる場所には近づかないようにしてください。渡航情報によっては。予定そのものを見送ることも必要かも知れません。

 

一日も早く、元の素晴らしいパリに…

パリは一見すると平安を取り戻しているように見えます。しかし本当の意味で元のように戻るにはまだ時間が必要です。僕の愛するフランスや友人たちがテロの脅威にさらされている、その事実に変わりはありません。

パリは素晴らしいところです。一日も早く元の姿にもどり、多種多様な民族がお互いに共存しあえる、そんな素晴らしい状態に戻ることを願ってやみません。

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執筆 Daisuke

 

 

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