紙辞書へのこだわりストーリー、最終回をお届けします。
時間はかかるし不便だけど…
この辞書の終盤には、動詞のコンジュゲゾン(les conjugaisons des verbes 動詞の活用)が一覧で載っています。フランス語を勉強するときに絶対避けては通れない、あのコンジュゲゾンです。
最近では、意味を調べるよりも活用を確認するために使うほうが多いのですが、何度も調べているうちにいつの間にか写真で記録したようにイメージが浮かんでくるのです。「なんとなく」という感じなのですが、それでも大いに役立っていることには変わりありません。
街で調べるのも面倒だけど…
紙辞書を使っていると、最初のうちは調べるのに時間がかかります。かさばるので、街なかでわからない単語があった時にササッと調べることも気軽にはできません。机の上ならばそれほど差はないのですが、「日常生活で常に」となると、電子辞書に比べると明らかに面倒くさくて不便です。
電子辞書は単語を調べれば、活用もすぐに表示されます。紙辞書の場合は、この後ろの一覧を見て「同じ活用を持つ単語」から調べなければいけません。留学初期には特に、手間がかかることは事実です。
ある時を境に突然!
しかしある時を境に突然、自分の語彙力が飛躍的に伸びていることに気がつくのです。その「ある時」を通り過ぎると、単語を調べるのが全く苦ではなくなり、調べた単語もサクサクと頭に記憶されるようになります。
一言でいえば「壁を越えた」感でしょうか。ある有名なデッサナニメ(un dessin animé アニメーション、アニメーション映画)でたとえるなら…
物凄く重い亀の甲羅を背負ったまま生活を送っているうち、あるとき亀の甲羅を外してみると尋常ではないパワーを手に入れた、そんな感じです。「じっちゃん、オラ、スゲー強えぞ」(キャラクターを特定できず気になる方、アンサンブル事務局までお問い合わせください・笑)
紙辞書を愛用する人は多い
同じように紙辞書を愛用している人に激しく同感されたり、「紙辞書を使い続けてる人は語彙力が高い」と言われたことも。また、フランス在住歴が長い人ほど「不便でも紙の辞書を使ったほうがいい」とよく言われます。
ただし、「紙辞書だから」「電子辞書だから」いい・悪いと言っているわけではありません。電子辞書であろうと紙辞書であろうと、それをどのように活用して自分なりに使いこなすか、ということが最も大切だと思います。
フランスの生活そのもの
電子辞書と紙の辞書。どちらがよくてどちらのほうが優れてる、そういう話はやめにしましょう。ただ僕は、この辞書と一緒にフランスにやってきて、この辞書と常に行動を共にして、この辞書は僕のフランス生活そのものなのです。
「Daisuke と言えば、いつもあの分厚い辞書を持ち歩いていたよね」。今、友人にはそうからかわれることもあります。
ボロボロでも重くても…
それでいいんです。たとえボロボロでも。重くて分厚くても。読み上げ機能がついていなくても。僕はこの辞書が大好きなんです。それが僕が紙辞書を使い続ける第一の理由です。一枚一枚ページをめくったその行為そのものが、僕の宝物です。
ここまで読んでくれたあなたも、きっと紙辞書こだわり派なのだろうと推測します。悩んでいるあなたにも、紙辞書を選ぶきっかけになってもらえたら…。
辞書はフランス語学習における大事なパートナー。僭越ながら、フランス語学習における先輩としてのアドバイスを熱く語らせていただきました。
執筆 Daisuke