スパークリングワインと聞いてシャンパーニュを思い浮かべる方は多いでしょう。また、泡があるワインはシャンパーニュだけなのでしょうか?実際は世界中でさまざまな種類のスパークリングワインが造られていますので、その違いをご紹介します!
スパークリングワインの違いとは?
スパークリングワインを理解する上で大事なことは、製法の違いを知ることです。ワイン造りは酵母がブドウに含まれる糖分をアルコールと二酸化炭素に変える工程=発酵が大事であると前回の記事で述べました。発酵はスパークリングワインにおいても非常に重要なことです。
それともう1つ、”酵母のご飯が糖分”のイメージもしてみてください。前回の記事、ワインはどうやって造られる?味わいを変化させる4つの理由!でワインの造り方についてご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
スパークリングワインのさまざまな製法
スパークリングワインを造るにも、まずはベースとなるスティルワイン(いわゆる通常のワイン)を造ります。その後、さまざまな製法の違いで分類されていきます。
トラディショナル方式
ベースになるワインに、酵母と糖分からできたリキュールを添加して瓶に詰めます。酵母が糖分と一緒に瓶に閉じ込められると、酵母は糖分を食べて(分解)、再び発酵を始めます。
すると、アルコールと二酸化炭素を生成し、瓶の中で行き場を失った二酸化炭素はワインの中に溶け込みます。これがスパークリングワインの泡となるのです!このように、瓶の中で行われる2回目の発酵を「瓶内二次発酵」といいます。
◆ワインのうまみと甘辛度を決めるのは?
瓶内二次発酵の後に瓶熟成へと続きますが、このときに酵母の死骸(!)である澱(おり)が発生します。澱も瓶に閉じ込められたままなので、集められ、取り除く作業と続きます。
ただ、澱は邪魔なのではなく、ワインにうまみを持たせる役割も担っているんですよ。しかし泡が溶け込んだ液体とともに澱を出すと、どうしても中身が減ってしまいます。
では、減ってしまった分はどうするのかというとリキュールを添加するのです。実は、リキュールの添加具合で最終的な製品の甘辛度が決まります。
◆トラディショナル方式のワインは?
このトラディショナル方式は、別名シャンパーニュ方式とも呼ばれ、最も手間も費用もかかる製法です。仕上がりの泡がきめ細かく、大変素晴らしいスパークリングワインです。シャンパーニュ(Champagne)を名乗るには欠かせない製法です。
それ以外にも、フランスのクレマン(Crémant d’Alsace、Crémant de Bourgogneなど)、イタリアのフランチャコルタ(Franciacorta)、スペインのカヴァ(Cava)があります。
まだまだあるスパークリングワインの造り方
トラディショナル方式以外のスパークリングワインをご紹介しましょう。いずれもトラディショナル方式を変化、もしくは簡略化したものとなります。
◆古代方式、田舎方式
一次発酵中のベースワインを糖分がまだ残っている状態で瓶詰めし、再度発酵させる製法です。リキュールは添加せず、もともとのブドウの糖分のみを使用します。ラベルにはメトード アンセストラル(Méthod Ancestral)やメトード リューラル(Méthod Rural)と書かれていることが多いです。
◆トランスファー方式
瓶内二次発酵までは瓶で行い、その後大きいタンクに開けて澱を取り除き、再び瓶詰めして製品にします。
◆シャルマー方式
二次発酵を大きいタンクで行い、澱をろ過してから瓶詰めする製法です。
◆炭酸ガス注入方式
読んで字のごとく炭酸ガスをワインに足す方法です。
最後に
これらの製法を意識して実際に飲んでみると、一番に感じられる違いはなんと言っても「泡」です。ぜひ比較して飲んでみてくださいね!
執筆 Eriko