
「基本的な文法が理解できたら、フランス語で書かれた本や記事をどんどん読みましょう。読むことにより、語彙が増えるのはもちろん、フランス語独特の文体や表現法に慣れていくことができます」
そう勧められて本を読み始めたけれども…読むのに時間がかかって、なかなか先に進まない。そんなときは、フランス語の文の読み方を少し見直してみるといいかもしれません。
前から順に読んでいく
日本語とフランス語は文の構造が違います。日本語は最後まで読まないと、意図していることが伝わりませんが、フランス語は文頭を読んだだけで何をいいたいのか分かります。
区切ってまとまりごとに意味を理解
フランス語を読むときは、必ず前から順に文字を追い、「後ろから前に戻る」読み方をしないようにすることが大切です。文をどこで切っていいのか分からないときは、「前置詞」「関係代名詞」「接続詞」に注目。これらの前で区切るようにすれば、長い文でも分かりやすくなります。
たとえば下の文章を、グループごとに意味を確認しながら、読んでいきましょう。
「Après avoir accroché la laisse au collier de la chienne, elle referma derrière elle le portail en bois qui clôturait le jardin.」
少し長めですが、区切っていきます。
Après avoir accroché la laisse 紐を付けたあと
| au collier de la chienne | 犬の首輪に |
| elle referma | 彼女は閉めた |
| derrière elle | 後ろ手で |
| le portail en bois | 木の門を |
| qui clôturait le jardin. | 庭を囲ってある |
このように、まとまりごとに理解していきます。きちんとした日本語の文に訳す必要はありません。これでも意味は通じますね。
前から読むメリットは
「日本語に訳しなさい」という問題に対する答えなら、きちんとした日本語の訳文が必要です。関係代名詞が使われていれば、それ以降の文を前の単語や文につなげるため、後ろから戻って訳さなければなりません。文末まで読んでも、述語を探すために、もう一度文頭まで視線を戻す必要があります。
一方、読んで意味を理解することが目的なら、前から順に読んで、情報を頭に入れていけばいいのです。同時通訳や、翻訳の作業をするときも、この方法が使われています。前から理解していくと、そのあとに続く文への流れもスムーズになります。また書き手がどういう考えで書き進めているのか、その思考どおりに読み進めていくこともできます。
前から読んでいくことができるようになれば、「聞く」力も自然と伸びます。聞こえてくる語順で、フランス語を理解できるようになるためです。初めは、一文が比較的短く、簡潔に書かれているものを選んで練習していきましょう。
フランス語の新聞に挑戦
読む練習として今回ご紹介するのは、フランス語の新聞サイトです。ニュースから文化、スポーツまで。さまざまな記事が掲載されていますので、精読と多読、どちらにも適する教材となります。
フランスの子供向け新聞
フランスの子供新聞「1jour1actu」。子供に向けて発信されているため、言葉も説明も分かりやすいのが特徴。ニュースだけでなく、フランス文化や、日常的なことなども紹介されていますので、楽しく読めます。
「Le journal des enfants」も同じく子供向けのニュースサイトです。こちらも一記事当たりの分量が短めで、理解しやすいのが特徴です。
日本のニュースをフランス語で読む
「NHK World French」では、日本のニュースをフランス語で聞いて読むことができます。リスニングの勉強のために活用されている方も多いですが、スクリプトが付いていますので、文章を読む練習にもなります。日本のニュースがフランス語でどのように表現されるのかが分かり、ためになります。
フランスの全国紙
もう少し難しくても大丈夫という方には、定番の「Le monde」や「Le Figaro」。記事の種類が豊富ですので、興味のあるところから読み始めましょう。
新聞は難しそうなイメージがありますが、使われている文法はそれほど高度なものではありません。文学的な言い回しや、比喩表現などがあまりないので、小説よりも読みやすい場合もあります。サイトの記事だと毎日違う話題のものを手軽に読むことができますので、多読には特におすすめです。
読むことを習慣に
学習を始めたばかりの頃は、知らない単語や分からない表現も多く、読むことがすぐに楽しみにはつながらないかもしれません。それでも毎日少しずつ、読むことを習慣づけていくと、いつのまにか「フランス語を読む」ことに慣れていきます。そして慣れてくると、読めること、分かることが楽しくなってくるはず。読んで得た知識は、会話での話題づくりにも役立ちますよ。
執筆 SAWA














