日本では、20代後半から結婚の話が多くなるのを感じたことはありませんか?久しぶりに会う友達と話のネタと言えば、彼との結婚について。実家に帰っても「結婚」の話。結婚が全てではないと言いながらも、結婚の話題から逃げられない日本の社会。
フランス人である夫が来日した際、私の友達の間で結婚に関する話題がやたらと飛び交うことに驚きを隠せないようでした。日本では30歳を過ぎると年齢的にも結婚が視野に入るというのは分かるのですが、どうしても「結婚=幸せ」や「結婚=人生」のような図式が浮かびがちです。しかし、フランス人は結婚について日本人のようなイメージを持っていません。今回は、このフランス人の結婚観についてお話したいと思います。
フランスではPACS制度を利用するカップルが多数!
フランスを含め欧米諸国にあるのが「パートナー制度」です。このパートナー契約を結ぶことをフランスでは「PACS(パックス)」と呼んでいます。これは、いわゆる事実婚のことで、形式上夫婦ではないけれど、夫婦みたいな関係であることです。この制度は、性的マイノリティの人々からの社会的地位向上の要望を受けたうえで、異性、または同性のカップルが安定した共同生活を送ることができるように制定されました。制定当初はその4割が同性カップルでしたが、現在では異性カップルがこの制度を利用している割合が増加しています。
PACS制度が人気な3つの理由
PACS制度が人気急上昇中の理由は…
- 結婚よりも制限が少ない
- 離婚などの煩わしい手続きが必要ない
- 相属税や親権など…結婚した夫婦が持てる同様の権利が保証される
このように、手軽さと保証の良さが人気となっています。私の身近なところでも、夫の兄や従兄弟たち、子供はいるけれど結婚していないカップルが多くいます。PACS契約をしている人もいれば、PACSすらしていない人もいます。要は「好きな人と一緒に居ることができれば良い」という考えに軸を置いている為、結婚という形にこだわりのないカップルが多くなっているんです。
フランス人のパートナーに対する考え方
フランス人は、愛のあるパートナー関係を重視します。その為、結婚しても愛がなくなったらすぐに離婚してしまうことも。彼らの幸せは好きなパートナーと一緒に過ごす事です。その為、生涯を共にできるパートナーを探すことに関しては積極的になりますが、結婚の形式にはこだわりません。日本ではセックスレスが続いたり、浮気されたり、愛がなくなっても「子供の為」と我慢している人も多いようです。しかし、同様のことがフランス人に起こった場合には、我慢せずに別れて次のパートナーを探してしまいます。
フランス人が考える結婚とは?
フランス人の中でも、もちろん結婚に憧れを抱いている人もいます。その為、結婚する人もいますが、減少しているのが事実です。フランス人に「PACSと結婚って何が違うの?」と質問すると、下記のような答えが返ってきます。
フランス人が語るPACSと結婚の違い
- 結婚式をあげるかあげないか
- 両方とも一緒だけど、結婚の方が離婚の手続きが大変!
- PACSの方が手軽に出来るだけで、ほとんど一緒
- 一緒に居られたり、家族を築き上げる手段の1つでほぼ違いはない
結婚をすると、通常は役所と教会で誓いの言葉を交わし、その日のうちにパーティー(披露宴)を行います。しかし、PACSでは、式をする必要がなく、裁判所で手続きするだけで完了します。結婚もPACSも両方とも2人が一緒にいたり、家族を作ったりする手段の1つである為、どちらがいいとか彼らの中ではありません。ちなみに、PACSのカップルがパーティを開く事は構いません。
あとがき
日本人は結婚にこだわりを持つ人が多い中、フランス人は特にこだわりは持っていません。フランス人がこだわるのは、好きな人と生涯一緒にいる事。その為、形式は何でも構わないのです。元々結婚はこの考えに基づいたものですが、日本人は結婚後が幸せでなくても結婚の形式に縛られがちなのかもしれませんね。
好きな人と一緒に居れば形式にはこだわらない。そんなフランス人に「長く付き合っているけど、結婚しないの?」なんて質問したら「えっ?」って驚かれてしまうかもしれません。
執筆 MARU