ハイテクノロジーが大手を振るう現代。紙辞書を使い続けることは、現代の進歩に逆行することでもあります。そんななか、数回に分けて僕の紙辞書へのこだわりをお届けしています。
電子辞書と「早引き対決」
ある日のエシャンジュの会で。「Daisuke、やっぱり紙の辞書は不便じゃない?重いし、調べるのも時間かかるし」と言われ、少しムッとしました。「この辞書がフランスで生きていくすべてを支えている」という気持ちを馬鹿にされたような気がしたのです。
ならばということで、電子辞書を使ってる人と単語を調べる速さを比べて、本当に紙の辞書は電子辞書より不便なのか、劣っているのか白黒つけてやろうじゃないか、という流れになりました。結果は…
なんと電子に圧勝!
全戦全勝! …とまではいかなかったのですが、5人と対戦して、ほとんどが僕のほうが調べるスピードが早かったのです!! 僕自身もびっくりして何度も「まぐれかもしれないからもう一回やろう!」と言ったほどです。毎日この辞書を使っているうちに、気がつけば辞書をひくことが生活の一部になって、知らないうちに上達していたのです。
また、単語を聞くとどういう綴りなのかが、おおよそですが予測できていました。毎日ベリベリとページをめくっているうちに、どこにどんな綴りの単語があるのか感覚で把握できるようになっていたのです。
エアそろばんならぬ、エア辞書
辞書を使っていないときでもなんとなく頭の中に辞書が浮かび、「この単語の前後にはあの単語がある」と漠然ながらイメージが浮かんでくる。そういう感覚が自然と備わっていました。
そろばんを習っている人が暗算をするときに手でエアそろばんをするように、僕も頭の中でベリベリとエア辞書をめくるのです。毎日繰り返していたアナログな作業が、いつの間にか目と頭、そして手にも焼きついていたようです。
…次回はいよいよ最終回です、お楽しみに!
執筆 Daisuke