直訳はダメ!「vouloir」を使った日常会話あれこれ(その2)

2017.10.19

vouloirの使い方

今回はそのまま日本語に訳してしまうと分かりづらい「vouloir」の表現をご紹介します。フランス人が伝えたい本当の意味やニュアンスを理解して、不本意に生じてしまう誤解を減らしていきましょう。

 

~してくれませんか?

フランス語のプロポーズの言葉に「Veux-tu m’épouser ?」や「Tu veux te marier avec moi ?」というのがあります。「『君は僕と結婚したい?(僕はどっちでもいいけど)』って聞いているの⁉」と思ってしまいそうですが、実は「Tu veux ~ ?」は相手の同意を求めるときにも使える表現。「僕は結婚したいと思っているけれど、君は?」という相手の意思を尋ねる気持ちが根底にあり、そこから「結婚しようか」の意味になります。

vouloirの使い方

「vouloir」を使って何かをお願いするときには、“相手はおそらく「Oui」と言ってくれるだろう”という期待を持っていることがほとんどです。ですから、状況や使う相手によっては命令されているように聞こえてしまう場合もあります。

「窓を閉めてください」と頼みたいのなら、「Voulez-vous fermer la fenêtre ?」よりも「Voulez-vous bien fermer la fenêtre ?」または「Voudriez-vous ~ ?」の方がより丁寧な言い方となります。

“Pouvez-vous ~ ?”との違いは

依頼を表す表現は他に「pouvoir(~できる)」を使った「Pouvez-vous ~ ?」または「Pourriez-vous ~ ?」が挙げられます。「Voulez-vous ~ ?」にはそれをしたいかしたくないか相手の意思を尋ねるニュアンスがあるのに対して、「Pouvez-vous ~ ?」には、それができるかできないかを相手に単純に問う響きがあります。

「暑くなってきたから窓を開けようかな」と思ったときに、友人が窓のそばにいれば「Tu peux ouvrir la fenêtre ?」(窓を開けてくれる?)と頼めます。「vouloir」を使って、「Tu veux ouvrir la fenêtre ?」と言えば「窓を開けない?(私は窓を開けたいのだけれど)」と友人の意見を聞く意味合いが含まれます。もしも友人が「Oui」と言えば、自分で窓を開けに行ってもいいですし、もしかしたら友人が窓を開けてくれるかもしれません。

 

“si tu veux” の本当の意味は

ある日、友人が引っ越すことになりました。フランスでは業者に頼むことはあまりなく、家族や友達に手伝ってもらうことがほとんど。ですから、その話を聞いたときにすぐに「手伝うね」と伝えたのですが、友人から返ってきた言葉は「Si tu veux.」。

直訳すれば「もしもあなたがそうしたいなら」。「そうしたいなら、手伝ってくれてもいいわよ」と言われているようで驚いたものです。

もちろんそんなはずはありません。彼女はそこまで高飛車な人ではないのですから。実はこの「si tu veux」にはそのように相手を見下すようなニュアンスはなく、日本語の「迷惑じゃなかったら」に近い表現だと気付いたのはしばらくたった後でした。「手伝ってもらえるのは嬉しいけれど、あなたは本当にそうしたいの?」と、相手の意思を問う思いやりのある表現だったのです。

vouloirの使い方

Si tu veux, on va au café ?」(よかったら、カフェに行かない?)は、「私はあなたとカフェに行きたいのだけれど、あなたも行きたいと思うなら行こうよ」と、相手の気持ちを尊重する言葉。

重そうな荷物をもってバスに乗ろうとしている人に「荷物を持つのを手伝いましょうか?」と尋ねると「Si vous voulez.」(ご迷惑でなければ)と言われることもあります。

「直訳してはダメ」と頭では分かっていても、「si tu veux」と言われるたびに未だに「!」と思ってしまうのは、まだまだフランス語の世界にどっぷり漬かりきっていない証拠のようです。

sawa
執筆 SAWA

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