国際バカロレアって?3 ≪気を付けること編≫

2017.03.15

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今月は3回に分けて、スイス発の教育プログラム「インターナショナル・バカロレア(IB)」をご紹介してきましたが、今日はいよいよ最終回。IB教育を検討するときに、気をつけておきたいことをお話しします。

⇒国際バカロレアって?1 紹介編
⇒国際バカロレアって?2 教育の特徴編

 

小・中学生からIBプログラムを受ける

happy children group in school

前回は、IBディプロマプログラムに向いている(と私が思う)日本の学生のプロフィールとして、次の3点を挙げました。

1.将来どういう道に進みたいかがはっきりしていて、その目的を達成するための学びたい教育機関が海外にあり、IB入学が認められている。
2.すでにある程度、主体的な学習姿勢が身についている。
3.英語が苦手ではない。

実はここに挙げた2や3の問題は、小・中学校からPYP(プライマリー・イヤーズ・プログラム:3歳~12歳が対象)やMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム:11歳~16歳が対象)のIB教育を受けることで解決するかもしれないものです。

 

IBプログラムを受けるときの問題点

High school students in class

では、小学校や中学校からIBプログラムを受けていれば、すべてがうまくいくのでしょうか?
実はそうとも限りません。
日本で低学年からIBプログラムを選択する際、気を付けたいことを3点にまとめてみました。

 

(1) 日本のIB指定校の大半はインターナショナルスクール

インターナショナルスクールは、通常、一条校(日本の学校教育法第1条に掲げられている教育施設)に当たらないので、日本の小学・中学・高校の卒業資格を得ることができません
つまりインターナショナルスクールを出ると、日本の大学の普通受験はできないのです。また、途中で日本の学校に転校するのも容易ではないと思われます。

(2) (1)の問題を回避するためには

一条校と認められているIB指定校を選べば良いことになりますが、それもそう簡単ではありません。
というのも一条校でPYPを設けているのは、今のところ全国で1校のみ。
しかもPYPしか提供していないので、中学でもMYPを続けたいなら県を越えて転校しなくてはなりません。
また、MYPとDP(ディプロマ・プログラム:16歳~19歳が対象)を一貫教育で提供している一条校も、今のところ全国にたった3校しかありません。

(3)学費が高い

一条校でもインターナショナルスクールでも、IBコースの学費は普通コースよりかなり高めに設定されています。高校3年間のみならず、小・中学からIBコースを始めるとなると、長期間の予算を組む必要があります。

こうして見てみると【2 教育の特徴編】に書いたように、IB教育の良さを生かせるのは、今のところ海外大学への進学を目標とする学生のみと言えそうです。ただし、今後IB認定校がさらに増え、大学側にも受け入れ態勢ができてくれば、状況も変わってくるでしょう。

また、前回は書きませんでしたが、海外在住で日本帰国して大学に進学する予定の学生も、
IBディプロマ・プログラムを選択することで、日本の大学に入りやすくなるという利点があります。
もちろん、お目当ての大学がIB入学制度を導入している必要がありますが…
実際、日本の大学のIB入学制度も、今はまだ帰国子女の利用がほとんどのようです。

それでも少しずつ多様な人材となり得るIB取得者の入学が増えれば、大学内部の活性化につながるかもしれません。いずれにせよ、生徒の適性や目標によって教育方法の選択肢が増えることは、大いに歓迎すべきことではないでしょうか。

 

まとめ

以上3回に分けて、インターナショナル・バカロレアの利点や問題点をご紹介してまいりました。
あくまで現時点での話ですし、私の個人的意見も混じっていますので、そのあたりを念頭に置いて参考にしていただけたらと思います。

 
執筆:冠ゆき

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