フランス魅惑のプール事情 (1)シャンプー可!日本との違いあれこれ

2014.08.21

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今回は夏真っ盛りということもあり、フランスのプール事情についてお話しします。僕は2年前から突如水泳にのめり込み、ほぼ毎日2時間以上も地元やパリのプールに通うようになりました。それで今ではパピヨン(le papillon バタフライ)で3㎞泳げるほどになってしまいました。

在仏日本人の中で、僕が最も頻繁にプールに通っているのではないか…と思うほどです。そんな僕が知った、フランスのプール事情。フランスと日本のプールの違いをご紹介します。カルチャーショックそのものです!

 

フランスと日本のプールの違い

フランスでのプールの特徴を大まかに挙げると、

①安い
②深い、長い
③水温、冷たい
④共同、多い
⑤シャンポワンOK
⑥1時間毎の体操がない
⑦彼らはプロフェッショネル

の7点。

なんのこっちゃ、と思われるかも知れません。これから解説していきましょう。

 

フランスのプールは安い

本当に安いのです! 僕の住んでいるアントニー市では、市民は一般3€、10回券25.50€、学生(などの割引)2.30€、10回券18.60€(2014年8月現在)で利用できます。市民以外でも3.80€、10回券32.50€です。年間パスも一般127.5€、割引90€なので、かなり安いです。

8月現在1€が140円前後なので、市民一般が420円の計算です。ただバゲットが0.88€前後ですから、フランス市民にとって1€は大体100円程度の感覚と思っていただくとわかりやすいです。

この相場はどこの公共プールでもほぼ同じで、よほどレジャー用に設備が整っている特別なところでない限りは1回3€~5€で利用できます。ちなみにパリ市内のほとんどのプールは3€、半官半民のようなプールは4€~5€と若干高めです。

 

フランスのプールは深い

どれくらい深いかというと…3m!

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最深部が3mなんて当たり前。プールによっては5mというところもあります。日本の公共プールは最深部でも1.8m程度なので、大きな違いですね。アントニー市のプールは最浅部1.8m、最深部3m。

おいおい、これじゃ一番浅い部分でも溺れちゃうじゃないか…!と思われるかもしれませんが、ご安心ください。浅いプールもあります。ただこの深い深いプールでも平気で小さな子供たちを泳がせていて、さすが水泳大国フランスだなと思います。

フランスのプールいろいろ

プティバッサン(un petit bassin 浅いプール)

フランスのプールに必ず用意されている、水深0・4m~1m程度のプール。このプティバッサンではアクアビクスアクアバイクなどのアクティビテなども行われます。

グランバッサン(un grand bassin 深いプール)

日本の多くの公共プールで禁止されている飛び込みやクイックターンが許可されています。

バッサンオランピック(bassin olympique 50mプール

フランスのプールの特徴の一つで、たくさん存在しています。本格的に泳ぐ人長距離泳者にとって、とてもありがたいことです。

 

ほぼ温水、だけど…

天井が開閉式になっている場合、天気のいい日には天井を開け放し、さんさんと降り注ぐ太陽の下で気持ちよく泳ぐことができます。水温は25℃~27℃。日本では28℃~30℃が一般的らしいので、慣れるまでは少し冷たく感じるかもしれません。

逆に、フランスの水温に慣れていた僕の体には、日本の温水プールはお風呂のようで長時間泳ぐには大変でした。その温かさにもかかわらず、暖取り用のジャグジーとサウナが用意されていることにも、ただただびっくりしたことを覚えています。

 

小中学校が授業で使う

日本のように各学校ごとにプールがある、というのは考えられません。水泳の授業の時は市営のプールにやって来るのです。一年中利用できる温水プールですから、授業も一年中行われます。

前述したような深いプールで授業を受けるので、泳ぎ方にうまい下手の差はあれど、ほとんどの人が最低限「溺れてしまわない」程度の水泳技術を身につけています。

小学生が利用する間、一般人の利用はできません。これを horaires scolaires (学校用の時間)と言います。プールによっては一日のうち2時間しか一般人が利用できないなど、一定の制限があるのですが、利用料金の安さを思えば自然と我慢できます。

非常に多い公共プール

フランスではこういった公共のプールが非常に多く、小さなアントニー市にも合計3つの公共プール(うち一つは夏季営業のみの屋外プール)があり、僕の家から徒歩圏内には隣の市の50mプール等もあわせ合計5つのプールがあります。

パリ市内にはほとんどの区に最低一つ、合計39の公共プールがあります(2区・3区・7区にはありません)。パリの大きさはよく山手線の内側程度と表現されますが、その範囲に39という数は相当なものです。

日本の学校は施設的に非常に恵まれていて、学校独自のプールがあるのも素晴らしいと思います。その反面、夏以外にはほぼ利用されないのはもったいないな、と感じることがあります。ただ学校の規模も教育システムもまったく違います。利用されない期間は防火用水としての機能も果たしていますし、一概には比べられません。

どちらがいいという議論はしませんが、フランスの「プールを地域で守り、利用する」という考え方は素敵だな、と僕は思うのです。

 

シャンプー使用は一般的

日本に帰国した際に驚いたのですが、泳いだ後のシャワーでシャンポワン( シャンプー)を利用してはいけないと知らず、年配の方にものすごく怒られてしまいました。目の前には「ここは大衆浴場ではありません。シャンプーは使わないでください」と大きく貼り紙が…。ひえぇぇぇ、ごめんなさい…。

フランスでは水泳後のシャンポワン利用は普通で、時々忘れた人からシャンポワンを貸してくれと頼まれることがあります。日本でシャンポワンが使えなかったことをフランス人の友人に話すと「え?じゃあ、プールの後は塩素の匂いをぷんぷんさせて帰るのかい?」と本当に不思議そうに聞かれました。

水質にもよるのかも知れませんが、こちらのプールでシャンポワンを使わずにシャワーだけ浴びると、肌がガサガサになってしまいます。オイルが入ったジェル(un gel douche シャワー用ジェル、ボディーソープなど)できちんと肌をケアすることが大切です。

 

1時間毎の休憩が無い

日本では「1時間おきに全員プールから上がって10分ほど休憩しなければならない」ことにも驚きました。さらにその休憩の間にみんなでラジオ体操を…。おっかなびっくりで、周りのおじいちゃんおばあちゃんに合わせて体操したのを覚えています。

フランスでは1時間おきの休憩もなければ、もちろんラジオ体操もありません(笑)。

 

安全と秩序を保つ、プロの指導・監視員

水泳指導監視員Maître Nageur Sauveteur(MNS)は専門の教育を受けてディプロム(un diplôm 免状、資格)を持ったプロフェッショネルです。

プールには専属MNSすべての名前とディプロムが貼ってあります。25mプールでも最低2人、必ずいなければなりません。どちらか一人でも来られない場合は、プールは閉鎖となるか、代わりのMNSが到着するまで開放されません。これは法律で決まっています。

彼らは迷惑行為や危険行為をする人、指示に従わない人をプールから退出または出入り禁止にする権限を持っています。ルールに従わない人が退出させられるところを何度も見たことがあります。

監視をするだけではなく、そのプールで行われる水泳レッスンや個人レッスン、アクアジムなどの指導も行います。小学生たちに水泳指導をするのも彼らの役目です。学校の先生は付き添いで来るだけで、水泳指導はプロであるMNSが行います。ここが日本とは大きく異なる点です。

深いプールでも安心して泳ぐことができるのも、プロフェッショネルである彼らが常に注意を払ってくれているからにほかなりません。彼らがいるからプールの安全と秩序が保たれているのです。

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水着着用時の注意点

パリ市内すべてのプールではボネ ドゥ バン(un bonnet de bain 水泳帽の着用が義務づけられています。また、ほぼすべての公共プールではバミューダ(un bermuda トランクスのようなタイプのだぼっとした水着)では泳ぐくことはできません。水泳用の水着が必要です。

 

ぜひ利用してみてくださいね

少しでもフランスのプールに興味を持っていただけたでしょうか?日本との違いに驚かれた方もいらっしゃることと思います。ちなみにプールはフランス語で「ピスィンヌ une piscineと言います。フランスのプールは非常に敷居が低く、だれでも気軽に利用できます。ぜひ利用してみてくださいね。

 

2

次回は「フランスのプールの雰囲気」についてお伝えしたいと思います。

執筆 Daisuke

 

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