ストライキ

フランスに行った方の多くは、どこかでストライキに遭遇したことがあるのではないでしょうか。フランスではストライキは日常茶飯事。交通機関、観光施設、大学、公務員…次から次へといろいろな業界がストライキを展開します。2023年には年金改革に反対するストライキが多発、デモの一部が暴徒化するなど日本でも広く報道されていました。今回は、ストライキに対するフランス人の考え方について、その歴史的背景ととともに考察してみたいと思います。

 

どこでも誰でもストライキ

フランス語でストライキは、grèvemouvement social と表現されます。日常生活でよく遭遇するのが交通機関によるもの。パリ交通公団(RATP)、国有鉄道(SNCF)、エールフランス、空港運営会社などが頻繁にストを起こし、そのたびに駅や空港が大混乱します。

経営陣を困らせて労働者側の待遇改善の交渉を有利することが目的なので、ストライキは会社のかき入れ時に頻発します。クリスマス休暇時期や夏休み期間のストライキは年中行事です。

かき入れ時という意味では今夏開催されるパリ五輪もまさにそれで、すでにRATPグループは2月5日から9月9日までの間にストを起こす可能性を予告しています。

公務員もこの時期にストをする可能性を発表済です。フランスでは警察や軍隊、司法官など一部を除いて、公務員もスト権が認められているのです。

先日エッフェル塔が職員のストにより閉鎖されたことは日本でも広く報道されました。昨年はパリのゴミ収集員が年金改革に反対してストを起こし、市内にゴミがうず高く積み上がるという事態もありました。

10年以上前に私がフランスの地方都市に留学していた際には、大学統合でポストが減ることを憂慮した職員がストをして大学が閉鎖。教室が使えず一部休講になりました。

このように、どこでも誰でもストライキを起こすのがフランスです。

写真:ゴミ収集員のストライキの際にはパリ中でゴミが溢れた

 

ストが正式に認められたのは戦後

記録に残っているフランスのストライキ関連の法律は、1791年制定のLe Chapelier法が最初です。フランス革命直後にできたこの法律では結社が禁止され、それが現在ではストライキの禁止と理解されています。この法律は1884年まで効力を持ちますが、共和政と王政が繰り返される中で段階的に結社が認められていくようになります。

20世紀に入ると、まだ法律的には全面解禁ではないものの、ストライキが一般化していきます。その原動力となったのが1936年のフランス初のゼネスト。これがフランス社会に与えた影響は大きく、年間12日の有給休暇と週40時間勤務を義務付ける法律が制定されました。

その後、1946年の先代憲法(第4共和政憲法)で、ストライキをする権利が正式に認められます。フランスでストライキが法的に保証されたのは、意外にも戦後の話なのです。

 

ストライキはフランス人のDNA?

日本人である私の目には、ストライキによる悪影響にばかり目が向き、なぜ自国の経済に悪影響を与えるような行為をするんだろう、と思うこともあります。また空港や主要観光地などが閉まっていると、旅行者にとってフランスという国のイメージが傷付くことは間違いありません。

一方フランス人にとってストライキは、政府や会社の方向性などに対し自分の意見を表明する手段であり、労働者の権利という認識が根付いています。

考えてみるとフランス革命も旧体制への抵抗から始まっていますし、その後何度も起きた革命も、ストの延長と言えなくはありません。ストライキには、フランス人のDNAに刻まれた革命への精神が見え隠れします。

 

ストライキとうまく付き合うフランス人

フランス人にとってストライキは日常の一部。生活に支障が出るとストレスは感じるものの、目くじらを立てて怒るよりも、どうにか乗り切る方法を探す方に注力している印象です。

たとえば交通機関のスト中はテレワークにしたり、自転車や電動キックボードなどに切り替えたり、ストが頻発する長期休暇期間中は移動を避けたり。

自分もストライキをする可能性があると考えると他の人のストも許容する必要があり、他人事ではないという意識もあるようです。

ほかにも、ゴミ回収がない時は家中のティッシュをトイレットペーパーにかえてトイレに流す人、ストでライトアップされない不気味なエッフェル塔を珍しがって見に行く人…。

不便でも根気よくたくましく乗り越えていく彼らを見ていると。不測の事態に対応するには、社会にもこれくらいの柔軟性が必要だなと思わされます。

写真:RATPがストライキを起こすとパリ市内は渋滞で動けなくなる(2019年12月のRATPのストライキの際のパリ市内の様子)

 

ストライキをも楽しもう

利用者としてはストライキは迷惑ですし、ないに越したことはありません。ただ、しばらくフランスに住んでフランス人の行動を見ていると、ストライキは自分も含め皆の持つ権利であり妨げることはできない、だからうまく付き合おうという考えであることに気づきます。

それによって新しい発見もあり、単調な日常に時々与えられる刺激とも思えるようになりました。旅行中にストライキに遭っても、フランスの文化・習慣のひとつを体験できたと前向きに考えられるようになれば、あなたもフランス人の思考回路が身についたと言えるかもしれません。

執筆 Takashi

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2024年3月26日(火)、31日(日)はフランス語で「パック」(Pâques)と呼ばれるイースター祭。毎年卵や鶏、ウサギの形をしたチョコレートを贈ったり、家族で集まって庭に隠したチョコレートの卵を子供たちが探すゲーム(エッグハント)を楽しんだりとチョコレートが欠かせない行事です。ところが、今年はチョコレートの価格が大幅に上昇しています。

 

カカオ価格、前年比162%の高騰

今年のイースター祭時期のカカオ価格を前年同時期と比較すると、なんと6割も値上がりしています。

最大の理由は、エルニーニョ現象による世界的な気温の上昇ですが、特に世界のカカオのほとんどが生産されるガーナとコートジボワールで猛暑が続き、干ばつなどの被害がでたことです。

加えて両国の一部の地域では、”swollen shoot”と呼ばれるウイルス性の病気がカカオ畑に広まり、収穫量が大幅に減っています。そのため、今年のカカオ豆1トン当たりの価格は、すでに現時点で6,200ユーロ(約1,016,800円/1ユーロ=164円)を越えています。

チョコレートやチョコレート菓子の店頭小売価格も、昨年11月のハロウィンシーズンの時点ですでに前年比12%も値上がりしています。

 

イースター、クリスマスに次ぐチョコレート商戦、今年のお値段は?

キリスト教の年間行事でクリスマスに次ぐ重要なイースター、この時期のフランスにおけるチョコレートの販売量は年間の10%を占めています。

今月初、スイスのチョコレートメーカー、リンツ&シュプリュングリ社(Lindt & Sprüngli)は、昨年の10%値上げにもかかわらず、今年も5%の値上げを発表しています。

キンダー(Kinder)やロシェ(Rocher)など欧州の人気チョコレートブランドで知られる、イタリアの大手メーカー、フェレロ社(Ferrero)(注)は「消費者への販売価格になるべく価格転嫁しなくて済むように、原材料の仕入れを早めに行っている」と述べていますが、昨年比の価格についてはコメントを控えています。

店頭価格、22年からグングン上昇

明らかなのは、2022年2月から23年2月の1年間で、スーパーで販売されるチョコレートベースのお菓子のフランスにおける店頭価格は4%値上がりしています。中でももっとも値上がりしたのは、チョコレート(8.7%)、フェレロ社のブランド名にもなっている「ロシェ」(rocher)と呼ばれる岩の形をしたチョコと、プラリネなどが入った一口サイズのチョコ「ブシェ」(bouchée)(10.4%)といった、カカオ含有率の高い商品です。

イースターの卵が10%~20%値上がり

気になるイースター祭のシンボルである、鶏と卵型チョコレートの価格ですが、過去2年間のカカオの値段高騰が店頭価格にも反映されているようです。

フランスチョコレート組合(Syndicat du chocolat)ジル・ルヴィエール(Gilles Rouvière)書記長は、今年のイースターのチョコレートの店頭販売価格について、「(チョコレートの)鶏は大体数十サンチームの値上がり。卵のほうは10%~20%の値上がり」になっていると述べています。

 

巨大な市場、フランス人一人当たりのチョコレート消費、欧州一

同組合の発表する数字によると、2021年のフランスにおけるチョコレートの消費量は348,000トン、金額にして33億2300万ユーロ(約5461憶円)でした。

フランスの一世帯あたりの年間のチョコレート消費量は実に13.2kg、一人あたり約7㎏でヨーロッパ一の消費量を誇っています。

執筆;マダム・カトウ

私たちが日常で使っている「レストラン(restaurant)」という言葉。英語だと思われがちですが、実はフランス語が語源だと言われているのをご存知でしょうか?

ここでは、restaurant にはそもそもどんな意味があるのか、どうして料理を提供するお店がレストランと呼ばれるようになったのか、その由来をお伝えします。

*レストランの語源は諸説あります。今回はもっとも有力と言われているものの紹介です。

 

レストランの語源はフランス語のrestaurer

レストラン(restaurant)の語源はフランス語の動詞「restaurer」から来ているものだと考えられています。この動詞 restaurer の現在分詞が restaurant です。

restaurer の意味を、手元にある辞書(小学館ロベール仏和大辞典)で調べてみると

・〜を復元する、修復する
・〜を復活させる、立て直す
・(体の)機能を正常に戻す
・(20世紀)〜に食物を振舞う、ごちそうする
・〜の体力を回復させる

とありました。

このように「(人などを)回復させる」ことが本来の意味。現在のレストランの意味に近い「〜に食物を振舞う、ごちそうする」は、20世紀になってから使われ始めたものと分かります。

そしてrestaurantは「回復させる場所」という意味で使われていました。それが、しだいに「食事を提供する店」に変わっていったのです。なぜ、このような意味を持つようになったのでしょうか。

 

レストランの誕生は18世紀

restaurantという言葉が「食事を提供する店」の意味で使われるようになったのは、18世紀のことのようです。

1765年に、ブーランジェという人物(本名は別にある説、店名ではないかという説あり)が始めたパリのお店で、体調を回復させるためのスープを売り出しました。ところが、煮込み料理の権利を持つギルドから訴えられてしまいます。ブーランジェは肉や野菜を煮込んだこのスープを「レストラン」と名付けていたため、裁判で「煮込み料理ではない」と主張して勝訴します。

それからレストランという名の料理を提供するお店が増えていきました。それがやがて体調回復のためのスープではなく、料理と飲み物を提供するお店の総称を「レストラン」と呼ぶようになったといわれています。

*Wikipediaなどを参照

 

語源を調べることがフランス語学習につながる

レストランの語源は restaurer=回復するという意味のフランス語です。たしかにレストランに行って、美味しい食事をいただくと元気が出てきますよね。

フランスの料理人が誇りを持って仕事をしているのは、語源のとおり「人々に食事を提供し、心身を回復させる仕事」という認識があるからかもしれません。ただ食べるだけの場所ではない、そう考えるとレストランに対する見方も変わってくるのではないでしょうか?

このように、語源を調べることは語学学習にもつながっていきます。日本で当たり前に使われているエクレアやクロワッサンなども、もとはフランス語です。ほかにもフランス語由来の言葉はたくさんありますから、ぜひ調べてみてくださいね。フランス語学習の第一歩は、言葉に興味を持つことです!

執筆:こと

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「fatigué(e) 疲れている / fatigant(e) 疲れる」という二つの形容詞を間違って使っている方が多いそうです。アンサンブルアンフランセ講師のJoseph先生が説明いたします!

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パリ2024 オリンピック2024年3月22日、パリ五輪の開会式を4か月後に控え、大会の運営に欠かせないボランティア45,000人も準備に追われています。ボランティアの半数は海外から、フランス国内からの参加者のうちパリ及び近郊に住んでいない人も多数いるため、アパート事情の悪いパリ及び郊外では、大会期間の貸し部屋価格が高騰しており、宿泊探しが難航しています。

 

3月24日のボランティア説明会、パリUアリーナに25,000人

パリ郊外の巨大なコンサートホールでボランティア向けの集会が開かれ、ボランティアによるパリ五輪運営の準備も開始されます。

参加するボランティアの全員がパリとその近郊に住んでいるわけではないため、各自ミッションと活動期間を告知されると、いよいよ会場へのアクセスが可能な宿泊場所を探さなければなりません。

ボランティアへの宿泊の提供、費用負担はなし

パリ五輪のボランティアへの費用負担は、会場で活動した時間内の食費に限られています。例えば、9時~18時まで活動した場合、ランチの提供しかありません。

ボランティアのセヴィ(Sevi)さんは、会場に近いシャルル・ド・ゴール空港から15分、観光地でも何でもない郊外の町、オルネー(Aulnay)にあるアパートに1ヶ月1400ユーロ(約228,000円/1ユーロ=約163円)も払いました。

夫婦でボランティアに参加予定のジェローム(Jérôme)さんは、「知り合いか知り合いの知り合いから格安で部屋を借りられないなら、参加を断念するしかない。交通費、食費などだけでもかなりお金がかかるから、宿泊に大金は払えない」とため息をついています。

ボランティア活動予算に50万円超も

ブルターニュ地方(Bretagne)からパラリンピックのボランティアとして参加予定、年金生活者のジャン=ピエール(Jean-Pierre)さんは、1か月間のボランティア活動参加のための予算を3,500ユーロ(約57万円)に見積もり、この中で何とかやりくりするつもりです。

パリの北、空港があるロワシー(Roissy)のユースホステルをとりあえず抑えていますが、ぎりぎりまでより条件の良いところを探し続けるというジャン=ピエールさんですが、ボランティア向け説明会の内容次第でボランティア活動の契約にサインするか決めるつもりです。

 

45000人の募集に30万人が応募、選抜時に宿泊の問題考慮せず?

ボランティアの宿泊問題について、パリ五輪担当政務次官ミッシェル・カド(Michel Cadot)氏は、「ボランティアは応募する時点で、報酬もなければ宿泊代の補助もないということを重々承知の上」で応募していることを改めて強調しています。

宿泊費用次第でボランティア辞退も

30万人のうち落選した25万5千人の一人、エリック(Eric)さんはFacebook上で、「落選してがっかりするのはまだ早い。遠方から参加する人は宿泊が高すぎてどのみち辞退する」と投稿し、その穴埋めにパリ市内や近郊に住む人が選ばれると期待しています。

確かに、大会運営委員会がボランティアの選抜時にパリ及び近郊の住宅事情の悪さ、宿泊費用の高さを十分に考慮したかどうかは不明です。

SNS上でボランティアの文句飛び交う

パリ五輪ボランティア限定のFacebookグループ内では、「無償で働くために大金を払うなんて」「無償で泊めてくれるところがなければ、(ボランティア参加は)諦めるしかない。一体、善意ある人はどこに?」といったメッセージが飛び交っています。

しかしながら、花の都、世界一の観光地パリで行われるオリンピックという一大イベントに参加したければ、観戦客だろうが、ただの観光客だろうが、志の高いボランティアだろうが、みな高い宿泊費を払わなくてはなりません。

自らもボランティアで、ビーチバレーの観客担当責任者を任されたファビアン・トソリーニ(Fabian Tosolini)氏は、「文句を言うのはフランス在住のボランティアばかり」とコメントしています。

ボランティア45,000人のうちの半数は海外から来ますが、どれだけの人がまだ宿泊を手配できていないかは不明であるものの、今のところ苦情の声は聞こえてきません。

もっとも、フランス人ボランティアでも不満の声を上げているのはごく少数のようです。中にはボランティアの常連から初心者まで様々な人がいます。

 

ロッククライミング会場の入場券と引き換えに、ソファーベッドを

この問題を見かねたフランス山岳ロッククライミング協会は、(fédération française de la montagne et de l’escalade : FFME)、ロッククライミング会場があるパリの北ブルジェ(Bourget)および近郊の住民に対し、ボランティアにソファーベッドを貸してくれたら、抽選で入場券をタダであげる、というキャンペーンを始めました。

24日の説明会で解決案を期待

ボランティア説明会に参加するクレルモン=フェラン(Clermont-Ferrand)の看護婦ジュリエット(Juliette)さんにとっては、世界中から来る人と出会えるといったボランティア間の交流が参加の動機です。

ボランティアは貸し切りの体育館やスタジアムなどにキャンプ用のベッドを用意するなど、一同に用意された宿泊場所で皆で一緒に寝泊まりするのかと思っていました。

今のところ宿泊場所が見つかっていない彼女は、24日の集会でなにかしら前に進むことを期待しています。

執筆:マダム・カトウ

ミシュランガイド20242024年3月19日(火)、フランスの権威あるグルメガイド、ミシュランガイド(Guide Michelin)は、18日(月)今年の1~3ツ星レストランリストを発表しました。この名誉ある星を獲得したシェフの一人、ファビアン・フェレ(Fabien Ferré)氏は35歳、史上最年少で最高評価の3ツ星シェフとなりました。

 

初の星獲得でいきなり3ツ星、フェレ氏

フェレ氏はミシュラン史上最年少で3ツ星を獲得したのみならず、1ツ星、2ツ星を経ずにいきなり3ツ星シェフの栄誉に輝きました。

このいわゆる「飛び級」は非常にまれなことで、過去30年間でわずか3回しかありません。

前回は2022年、アルノー・ドンケル(Arnaud Donckele)氏が、LVMH社所有のパリのホテル、シュヴァル・ブラン(hôtel Cheval Blanc Paris)のレストランでいきなり3ツ星を獲得しています。

フェレ氏が3ツ星を獲得したレストラン、「ラ・ターブル・デュ・カステレ」(La Table du Castellet

は、南仏プロヴァンス地方、マルセイユから約40km、車で40分ほどの町カステレにある5ツ星ホテル(Hôtel & Spa du Castellet)のレストランです。

セコンドシェフから2年前にシェフになったばかり

このレストランは、2018年に3ツ星を獲得したクリストフ・バッキエ(Christophe Bacquié)氏がシェフを務めていました。2022年に同氏が去ると、セコンドシェフ(副料理長)だったフェレ氏がシェフに昇格します。

トゥール(Tours)で行われた表彰式でのインタビューで、フェレ氏はこれまでの道のりについて、「(前シェフが去った時)自分が後を継いで歴史を刻んでいこうと決意しました。自分のアイデンティティーを出しながら、前シェフがやったように、今度は自分が厨房のスタッフたちとともに最高峰を目指す番だと思いました。日々チャレンジの連続で、今日この日の喜びをスタッフたちと分かち合えることがうれしい」と語っています。

 

8つのレストランが新たに2ツ星に

3ツ星を新たに獲得したもう一つのレストランは、ジェローム・バンクト(Jérôme Bancte)シェフの「ル・ガブリエル」(Le Gabriel)  で、パリの5ツ星ホテル、ラ・レゼルヴ(La réserve)内にあります。

今年新たに2つのレストランが3ツ星になりましたが、一方で サヴォア地方(Savoie)の家族経営の3ツ星レストラン「ラ・ブイット」(La Bouitte) が2週間前に降格しています。

新たに2ツ星に昇格したレストランの中には、エッフェル塔 (La tour Eiffel)の3階にあるフレデリック・アントン(Frédéric Anton)シェフの「ジュール・ヴェルヌ」(Jules Verne)、モナコ(Monaco)の最高級ホテル、「メトロポール」(hôtel Métropole)内にある、クリストフ・キュサック(Christophe Cussac)シェフの 「レ・ザンバサダー」(Les Ambassadeurs)が名を連ねています。

 

ミシュラン新規1ツ星レストランの数、過去最高も「狭き門」

今年新たに1ツ星の評価を受けたレストランの数は過去最高の52件で、その多くのレストランがパリ市内、南東、南西フランスとオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ(Auvergne-Rhône-Alpes)地方に集中しています。

ちなみに、インセ(L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques フランス国立統計経済研究所:INSEE)の発表によると、フランス全国にあるレストランの数は約17万5,000件、その10%に当たる18,000件ほどがパリ及び近郊に集中しています。

グルメ大国フランス、ミシュランの星獲得は至難の業ですね。

2024年ミシュラン星付きレストランリスト

執筆:マダム・カトウ

フランスの小、中、高の学校では、土日以外に水曜日の午後がお休みになっています。子供たちは学校以外にどんな活動をしているのでしょうか?日本では小さい子供から年配まで学べる習い事が充実していますが、フランスはどうなのでしょうか?そこで今回は、フランスの子供たちと大人に人気の習い事、体験アクティビティについてレポートします。

 

子供の習い事は小学校から!その理由とは?

フランスでは母親が子供を預けて働くケースが多いため、日中子供たちは家以外の場所で過ごごすことがほとんどです。入学前は託児所、保育ママ、幼稚園などを経て小学校に入ります。

預かる側が、工作、運動、簡単な料理などのアクティビティをやってくれるので、休日や時間があるときはお家で家族とゆっくりした時間を過ごすことを好む傾向があります。

また、習いごとに定期的に通えるのは小学生と中学生。なぜなら時間の問題があるからです。学校が終わる時間は16時30分が基本で、決して早い時間ではありません。下校後の習い事はスケジュール調整が大変なこともあるようです。

高校生になるとさらに下校時間が遅くなり宿題や試験も多いため、習い事から離れていくようになります。

 

フランスの子供たちに人気の習い事はこれ!

フランスで人気の習い事を挙げてみました。これらはフランスのどこでも習うことができます。サッカー、水泳などは日本の子供たちにも人気ですね。

・サッカー
・柔道
・水泳
・スキー
・ダンス
・乗馬
・ボルタリング
・バレエ
・ダンス
・音楽

フランスは習い事が少ない?

フランスでは、就学前の子供を対象にした習い事やプレスクールのようなものが少ないと感じます。しかし、フランスは幼稚園~高校まで6週間ごとに、2週間のバカンスが入るシステムです。その間の習い事はお休みになります。よく計算してみると、1年を通して半年ほどしか習い事に時間を費やしていないのが現状です。

 

フランスで人気の乗馬!どこで体験できる?

乗馬はフランスで人気の習い事です。子どもたちは、馬との触れ合いが大好き。他の習い事に比べると料金が高めですが、日本に比べるとリーズナブルな価格だと思います。乗馬用のブーツやヘルメット、そして服装はケガを避けるために乗馬に適したものをすすめられます。

フランスの家庭では、習い事を変更することに抵抗がないようで、合わないと思ったら1年で打ち切るという気軽なスタンス。その中でも乗馬は、継続的に習っている子が多いように感じます。それだけ乗馬は魅力がある習い事なのかもしれませんね。

習い事以外でもできる乗馬体験!

また、フランスでは学校の課外授業として、乗馬体験や引き馬がプログラムにある場合が多く、子供たちが気軽に馬に触れ会える機会が作られています。日本ではなかなかそうはいかないので、羨ましい限り。

また、バカンス先では乗馬クラブが手頃な料金で乗馬体験を提供しています。フランスでは、乗馬は身近なアクティビティとなっているのです。

自然豊かなフランスならではだなと思うのは、休日に森などで馬に乗ってゆったり散歩をしている人をよく見かけることです。南フランスでは、白馬に乗ってカマルグ湿地帯まで行く乗馬プログラムが有名で、フランス人にも人気があります。

 

大人に人気の習い事は?短期間集中の体験プログラムも

働く世代は自分の時間をとるのが難しいので、習い事を続けるには本人のやる気と体力が必要になります。世代にもよると思いますが、大人の習い事では体を動かす系が人気のようです。ヨガピラティスダンスなどはサークルかスポーツジムに所属しておこないます。

サイクリング山歩き、スキーなどは、週末のアクティビティとして楽しむ人を多く見かけます。特にサイクリングは、年配のグループがお揃いのユニフォームを着てツーリングを楽しんだり、1人でふらりと走る人も多いです。

文化系ですと、ピアノなどの楽器陶芸などが人気で、自分のペースでゆったりできるのが魅力のようです。

お泊りで楽しむ短期間の体験プログラム

最近、バカンス中に泊りがけでおこなうスタージュというプログラムが人気を集めています。宿泊、食事、アクティビティがすべて込みになっていて、コーラス、ピラティス、ヨガ、音楽などを集中的に体験できる短期間プログラムです。旅行気分で参加して、気分転換をしているフランス人も多いようです。

 

まとめ

フランス人にとって習い事は、気分転換を楽しくするツールの1つと言えるでしょう。乗馬体験では自然を満喫し、スタージュでは学びながら人との出会いが楽しめます。1人で参加する方も多いので、興味があればぜひ体験してみてくださいね。

執筆 YUKO

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日本語でもフランス語でも翻訳するのが難しい表現がいくつかあります。今回は日本人がよく使う「“よろしく”お願いします」という表現について、アンサンブルアンフランセ講師のRémy先生が紹介します。

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2024年3月15日(金)、フランスの児童の算数の著しい成績低下に歯止めをかけようと、アタル首相(Gabriel Attal)は政府のキャンペーンにミス・フランス2024、エーヴ・ジル(Ève Gilles)を起用しました。「理数系は男子」、という固定観念が根強くのこっており、キャンペーンを通じて女子にもっと数学に興味を持ってもらい「リケジョ」の育成に力をいれる目論見です。

 

女子児童、小学校から徐々に算数の成績低下

フランス政策研究所(Institut des Politiques Publiques : IPP)が発表した調査結果によると、小学校1年(CP : cours préparatoire)に入学したての時点では、男子児童と女子児童の算数の能力に差はないにもかかわらず、半年もたつと女子児童の算数の成績は徐々に落ち始めることが明らかになっています。

そして2年生(CE1 : cours élémentaire 1re année)になるとさらに落ち、男子児童との差が拡大し始めます。

「この傾向は児童の親の社会的ステータスや経済力、私立と公立などの形態や学校の良し悪しとも関係なく、フランスのどの地域でも同じように表れています」と、この調査に参加した経済学者トマ・ブレダ(Thomas Breda)氏は述べています。

調査は250万人の児童に2018年から2022年の間に行われた標準学力テストの結果に基づいています。

テストは小学校入学時と半年後、さらに2年生に上がった直後に行われ、簡単なフランス語の読み書き、足し算や数の比較、数量に関する初歩的な能力を測るものです。

テストの結果により、各児童をランク分けし、半年後、1年後のランクの変化をみます。

これによると、当初成績がトップクラスのランクにいた女子児童のほうが、その後算数の成績を大幅に下げる傾向が強いことがわかっています。

唯一例外として、学力強化校に指定された学校の小グループクラスにおいてはこの傾向がないことが明らかになっています。

ちなみに、入学当初、女子児童は男子児童に国語能力で大きく差をつけていますが、その差は徐々に縮まっていきます。

 

世界数学の日に「女の子だから数学は無理」と誰にも言わせないで、ミス・フランス

3月14日「世界数学の日」、アタル首相がミス・フランスとタッグチームを組んだ(?)かのように、両名のInstagramに2人のビデオが投稿されました。

その中でアタル首相は、フランスの児童の数学力低下は、男女関係なく深刻な問題になっており、政府の優先課題となっていると発表しました。

首相はまた女子生徒たちに向け、数学は「女子の分野じゃない」と自ら避ける傾向にある現状から、「特に女子の数学力向上に最大限力を入れていく」と発言し、この「リケジョ・キャンペーン」のアンバサダーに最もふさわしい人としてミス・フランスを紹介します。

ミス・フランスは、「自分は数学科の2年生だけど、クラスには女子生徒がまだまだ少ないので、女子にもぜひ数学を学んでほしい」、また、数学を勉強すると科学者、宇宙研究者、調査など様々な職業に門戸が開かれるといったメリットを説明しています。

さらに世間の目や「数学=男子」という社会的先入観に惑わされて「私にはできない」と思い込んだり、「女の子には無理」と言う人のことを聞かないように呼びかけました。

理系大学卒、女子は3分の一

理系文系の得意不得意に関して、生物学的になんの根拠も証明されていないなか、いつの間にか女子は数学が苦手という意識が先行しているようです。

先述の調査をしたブレダ氏は、男の子が「小さい時からビーズ玉遊びやサッカーなど数に関係ある遊び」をすることなども関係があるのではとコメントしています。

ちなみに2021年時点でフランスの理系大学、および大学院卒業資格者のうち女子が占める割合は3分の1ほどです。

執筆:マダム・カトウ

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